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第43話 これからのこと………

そのころ 千鶴はふらふらと裏道を歩く… あまり人通り多いと怪しまれるから ここら辺は知ってるし、家から近い場所でよかった もう少しで着く、着いたらどう話そう、まず学校とマスター(ゲイバー)のところにも行かないといけないし、俺のせいでみんなに迷惑かけちゃった 俺がいなくなっても誰も悲しむ人なんていないのに… あーダメだなマイナスの方向に考えちゃう…早く家について 体洗って明日から元気に学校に行かないといけないのに… ふらふらと歩いていると後ろから「わーわー」と声が響く まずい、追ってかな、早く走れないよ… なんか耳も変だし、俺、死ぬのかな… でも死んでも悲しむ人なんていないけど… あっは、またマイナス… 「はぁはぁ苦しい…」 足の裏からは血が出ている 窓ガラスが割れて裸足のままでてきたから多分踏んだんだよね… 痛いな…てか足跡で追跡されるじゃん!と後ろを向くとやっぱり… ついていた その動作で近くのごみ捨て場に倒れこむ あーあ 「はぁはぁもう夜になるし今日はもうここで寝ようかな…」 俺の最後はゴミの中 いいかもしれない ゴミとしか生きられないし…どうせ明日からも男の性器加えて稼ぐなら ここのほうがいいのかな… 目を瞑ると早川や高木、今までお世話になった人たちが出てきた、そして五十嵐さんの笑顔… でも ちゃんと伝えたい人がいる、最後の力だから きっとあと少しでたどり着ける… 頑張れ千鶴!! ふらふらと歩き、家の前まで着くと 黒い車が止まっていた もしかして… でも車は走り出しそうだった 俺に気づいてない… 嫌だ…待って…置いてかないで 最後の力を振り絞り 「五十嵐さん」 と一言呟いたら、目の前が暗くなり倒れてしまった あー死んだ、家の前で死ぬとか…俺、本当にバカ、あと少しだったのにもう少し頑張れよ… 五十嵐さんのあの暖かい掌 また頭撫でてほしかったな… すがりたい…あの優しさに 目の前に広がるのは三途の川、これか… これを渡ったら最後戻れない… 完全に死ぬ ゆるやかと流れる川はどこか懐かしさを思い出させる そうだあの夏の日一回だけ本当の家族と夏祭りに行った日 俺は肩車で母さんは弟を抱っこしてた 懐かしいな…でもあのあとから家族は壊れた 会社が倒産し、家も不安定になり寒い雪の日に俺は家に置いてけぼりにされた 寒くて凍え死にそうで、でもその時も誰かに助けてもらえて、都心の孤児院に入り里親が見つかったけど、すごい悪魔的に酷い家族で2日に 1回のご飯が当たり前で さらに次の家族は性虐待をしてきた、まだ小学生後半とかなのに… そこで男とも性行為ができることを体に叩き込まれ その生活も中学3年まで続いて勝手に手放され また孤児院に戻ったけど、15歳以上は卒業しないといけないからというルールで 俺は安いアパート暮らしになり、高校はなんとなくで通った ゲイバーのマスターと会い お金が必要だから雇ってほしいと無理な条件で雇ってもらい 性行為を身につけ今にいたる だから俺の人生ってそんなもんだから 三途の川渡って早く楽になりたい

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