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二人の出会い

「彼が捜査一課の伊澤だ。熱血漢でバカ真面目な男だ。よ~く、ツラ覚えておけ」 「はい」 青年が腰を九の字に曲げ慌てて頭を下げた。 「やっと来たか。たく、どんだけ待たせるんだ」 ぼやきながら播本が改札口に目を向けた。 その頃、伊澤らにも動きがあった。 容疑者らしき人物が、改札の向こうからこっちへやってくるのが見えたのだ。 少し離れて張り込んでいた同僚たちも気付いたのだろう。 よりによって、龍一家の組長一行と鉢合わせになるなんて。 文句を言っても仕方がない。 互いに目配せしあうと、人なみを縫い、出来る限りスムーズに男の身柄を確保出来そうな布陣に移動していく。 幸いなことに男は龍一家の組長一行が前を歩いていることに気づいていないようだった。 何度なく周囲を見回し、きょろきょろとしている様子からして、男は随分と警戒をしているようだ。武器を隠し持っている可能性だってある。 だとしたら、人の多いここよりも、少し駅から離れた場所で確保した方がいいかもしれない。 伊澤は同僚たちに視線を投げ掛けた。 彼らも同じ考えなのだろう。頷き、駅の外を指すように顎をかるくしゃくるのが見える。 駅を出るまで泳がせて、人が少なくなったところで捕まえる計画だろう。 そのとき一人の男の子が男に背後から勢いよくぶつかってきた。 「いてーな、このくそガキ!」 男はごめんなさいと泣きながら謝る男の子をじろりと睨み続け、ポケットに手を入れた。 ーーやばいな。 男の子を助けるため、伊澤が飛び出そうとした、まさにその時。 播本の隣にいた青年が伊澤より先に飛び出した。 ーーあのバカ、なにやってんだ。

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