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第2話

 いつものように放課後自分の家に招き、さあ何をして遊ぼうとなった時、彼は輝に言った。 「輝、おまえからいい匂いがする」  侑一がすんすんと鼻を鳴らす。 「え……」 「もしかして、輝はΩか?」  ガン、と頭を殴られた気がした。 「どうして……」  わかったの、と続く前にぎゅうっと抱きしめられて呆然となる。同い年なのに、何でこんなに力強いのか。 「だいじょうぶだ、おれが助けるから」 「たすける……?」 「輝のとなりにずっといるから」 「侑は、αなの……?」  侑一はああ、と頷いた。両親ともにαの家系である侑一は、物心ついた時に検査を受けているのだと打ち明けてくれた。 「怖がらなくていい。おれは輝のいやがることはしない。他のやつにさわらさせないようおれが輝を守るからな」  おずおずと親友の背中に腕を回す。親友の腕の中は、何故だかとても安心できる温もりを感じた。  それから、親友は何も態度を変えることなく言葉通り隣にいてくれている。  高校も同じところを選択し、何かと気にかけてくれる。 「輝、具合悪くないか?昨日より匂いが濃い」  昼休み、隣に机をくっつけて弁当を食べている時に侑一は輝にこそっと言った。 「ん……たぶん、今日か明日始まるかも」  普通、Ωの発情期は三ヶ月に一度の周期でやってくる。しかし、輝の場合は二次性徴の途中だからかあまり安定せず、抑制剤である錠剤を飲むタイミングが難しい。しかも抑制剤の合う合わないが激しく、効果の強いものほど、顕著にあらわれてしまう。 「今回は前より少し遅いな」  前回は二ヶ月半の周期だったが、今回はそれから四ヶ月経っている。 「侑、手伝ってくれる?」  すり、と肩をこすりつけると抱き締めるようにその肩を抱いてくれる。 「親友なんだから、遠慮するな。放課後行くから、早退したらいい」  侑一の匂いに誘発されそうだと思いながら、輝は頷いた。

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