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第18話

 確かに侑に抱かれることで発情期は乗り越えられたけど。嬉々として抱いていたと告白されてどうしても戸惑ってしまう。 「いつも俺にとって良い匂いがしていたから確信はしていたが、そりゃあ嬉しかったよ。おまけに素直に俺に抱かれてくれるし」  情事を思い出させるように背中を指でなぞられて赤面する。発情期が終わったばかりの今は、恥ずかしくてしょうがない。 「だって、おまえ以外にいないもん」  じわじわと侑一への気持ちを理解し始めて、今更すぎると輝は侑一の胸に顔を埋めた。 「どんだけ可愛いんだ」  可愛い、は余計だと言いつつ、言われると条件反射で嬉しくなってしまう。 「でもさ、親友も欲しいって、ズルい気がする」  苦し紛れにそう呟くと、侑一は口の端を上げた。 「ああ、そりゃ、好きな奴の全部が欲しくなるに決まってるだろ。輝の親友を辞めるつもりは一生ねえよ」 「ん、でも、番は?」 「もちろん、もらう。親友も番も輝は俺のだ」  遠慮の無くなった侑一は不敵に笑った。 「俺がイヤだって言ったら?」  侑一のペースなのがちょっぴり癪で、つい意地悪なことを言ってしまう。 「イヤなのか?」  すると、悲しげな顔を見せてくるからすぐに撤回しなければいけない気分にさせられた。 「イヤ……じゃない。侑がいい」 「輝っ!!」  勢いよく押し倒されて驚いた。だが、侑一の嬉しそうな顔を見たらどうでもよくなる。 「愛してる!もう離さない!」  ぎゅうぎゅうと強く抱きしめられ、本当に離す気が無いんだなと安心と嬉しさがこみ上げてきた。自分からも、侑一の背中に腕を回す。 「いっとくけど、侑が俺のことうっとうしいと思っても一生付き纏うからな」 「望むところだ。輝の隣に居ると約束したのを覚えているか?」  幼き日の約束。体が突然変化していく恐ろしさに打ちのめされたあの頃。  侑一の言葉が輝にとって救いだった。 「侑……!覚えてる。初めての発情期のあとで……」  安堵したような表情の後、少し怒ったような呆れたような口調で侑一が言う。 「なのに、俺から離れようとするなんて」 「……ごめん」  あの頃、侑一の言葉にどれだけ救われたか。  Ωである自分。αになりたいとは思わないが、性に振り回されないβになりたいと思ったことはある。  でも、侑が隣にいてくれたからΩであることを卑下することはなかったし、中学、高校、大学と人並みに通えているのも侑一のおかげだ。 「俺を迎えに来てくれて、ありがとう」

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