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第23話

「侑、おまえの方が実は我慢してただろ……」  さんざん睦あって、精魂尽き果てた輝はシーツに突っ伏した。そんな輝を、侑一は後ろから抱きしめ、首筋にキスを落とす。 「ん?まあな。発情期以外でも抱きたいとは思ってたよ」 「万年発情期かよー」 「こんなに可愛い親友がいて我慢していたのは偉いだろ?」  項の噛み跡をべろりと舐められて、びくりと反応してしまう。 「偉い?偉いのかそれ……?」 「俺の衣服を集めて巣作りするわ、知らないうちに女に嫉妬するわで可愛すぎるだろ」 「す、巣作りって」 「知らないのか?Ωは好みのαの衣服を集める本能があるって。ちゃんと俺のこと好きなんだろうなって思っていたから、俺の服で埋もれさせたかった」  甘い声で口説くように囁かれて、顔が熱い。侑一の匂いは昔から落ち着くと思っていたが、それは運命の番だったからとは知らなかった。 「しかもお前、俺の前だと無防備すぎていつでも項をかんでくださいって言っているようなもんだったし」 「うっ……。それは、なんというか、ごめん」  他のαを前にしたときは大なり小なり緊張感を持つものだが、侑一だけには安心しきってしまう。  性交の時も輝は項を守るための首輪をしない。  それがどれだけ侑一を葛藤させたか。今ならそれが拷問に近いものであることがわかる。  後背位をしなかったのは、輝が望んだ他にそう言った意味があったのか。 「いや……輝に我慢させたくなかったから、いいんだ」  首輪をすることは、自分がΩであると主張することになる。逆に首輪をしなければ、どこで事故が起こるかわからない。  輝は自分がΩであることを卑屈には思っていないが、そういった煩わしさを感じてしまうのはどうしようも無い。  αである侑一が全く感じることのないその煩わしさを、輝のために考えていたのは素直に嬉しい。同時に、どのくらい自分が侑一を信頼していたのか、また侑一が輝をどれだけ深く愛しているのか思い知ってしまう。

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