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第28話
「えっ」
驚くのも当然だ。まだ中学生になったばかりの子どもの言うことはにわかに信じられないのだろう。
「俺、輝を守りたいんで、どうか輝に会わせてくれませんか」
だが、侑一が至極真剣に伝えることで、本気だということは感じてくれたようだ。
「そ、そうね……。でも、無理強いはしないでほしいわ」
「もちろんです。輝が拒否すれば、帰りますから」
輝が侑一を拒む。それは一度たりとも無かったことだが、侑一が一番恐れているものだ。
「輝は……侑一くんのこと、好きだとは思うわ。でも、あの子にはまだ早すぎるとも思うの」
それは最もだ。侑一と輝の「好き」は今は違うだろう。
「……そうですね。俺、何年でも待ちますから」
根拠は無いが、輝が意識してくれるまで待ち続けられる自信はあった。
両親を除けば、誰よりも輝のそばに居た。
「侑一くん……。母親として、言わなきゃいけないのだけれど、大人になるまではちゃんと避妊してあげてね」
男同士であっても、αとΩが行為に至れば妊娠することがある。Ωが発情期であれば、確率はグッと上がる。
だが、発情期にαと体を繋げたΩは、早く発情期がおさまったり、情緒が安定するなどが挙げられていた。
輝が欲しい気持ちは強いが、もし自分が輝を楽にできるのならそういった意味で輝と繋がりたかった。
「もちろんです。あと、合意なしには番にはなりません」
「侑一くんを信じているわ」
二階へ続く階段を登り、輝の部屋の前に立つ。
扉をノックし、返事を待った。
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