34 / 39

第34話

 番になったからというもの、輝が今までに増してもの凄く可愛く見える。いや、ずっと可愛いのは間違いないのだけれど。  朝を同じベッドで迎えられることに毎日感謝する。 「侑、侑、起きて」  可愛い声で起こされるのもまた至福のひとときだ。  甘えているのが心地よくて、わざと寝たふりを続けてしまう。 「侑ったら」  輝が揺り起しにかかる。その手を掴んで、引っ張ると簡単に愛しい恋人の体は胸の中に落ちてきた。その温もりがまた心地よくて、思い切り抱きしめた。 「ちょっ!侑、起きてるでしょ!」 「うん」  悪びれることなく、輝の頬にキスを降らせる。 「輝、このままもう少し寝よう?」 「だぁめ。朝ごはん食べるもん。寝てる人には作らないよ」  駄目とは言うものの、輝の顔は笑っている。輝にはずっと笑っていてほしい。 「じゃあ、起きるから、おはようのチューして」 「本当に起きる?昨日もそうやって十分くらいチューされたし」  輝だってキスは抵抗しなかった、という言葉は飲み込む。可愛い顔が近づいてきたからだ。  チュッと小さなリップ音の後、柔らかな唇を堪能する前に離れようとしたから、頭を軽く片手で押さえつけもう一度唇をくっつけた。 「んんっ……んぅ……」  舌先で輝の唇をなぞる。輝は素直に口を開いて侑一の舌を迎え入れた。 「はぁっ…ぁ……」 「朝飯食べたら、もう一度ベッドに戻ってこようか」  発情期だけでなく、いつでも番とエッチできる関係になってからというもの、歯止めが効かなくなっていた。日中夜問わず、輝と触れ合っていたい。  むしろ、前までどうやってやり過ごしてきたのか全く思い出せないほどだ。 「ん……卵は目玉焼きとスクランブルどっちがいい?」 「目玉焼きがいいな。半熟にしてくれる?」 「りょーかい。俺も半熟が好き」  もちろん、輝の好みは知っている。  輝のことは何でも知りたいし、覚えてきた自負がある。  上機嫌で輝はベッドから降り、キッチンへと向かっていった。その後を追うように、侑一もベッドを抜け出した。 「侑、今日は買い物に行こう」  トーストを齧りながら、輝が言う。輝から外に行こうと誘うのは珍しい。 「ん?何を買いに行くんだ?」 「侑ったら、忘れちゃったの?明日、侑の誕生日。だから十二時超えたらお酒飲もうよ」 「ああ、ごめん。もうプレゼント貰ったからすっかり忘れてた」 「プレゼント?」  こちらを向いた輝の唇をさっと奪う。  意味がわかったようで、輝の顔がうっすらと赤くなった。 「……恥ずかしいやつ」

ともだちにシェアしよう!