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第34話
番になったからというもの、輝が今までに増してもの凄く可愛く見える。いや、ずっと可愛いのは間違いないのだけれど。
朝を同じベッドで迎えられることに毎日感謝する。
「侑、侑、起きて」
可愛い声で起こされるのもまた至福のひとときだ。
甘えているのが心地よくて、わざと寝たふりを続けてしまう。
「侑ったら」
輝が揺り起しにかかる。その手を掴んで、引っ張ると簡単に愛しい恋人の体は胸の中に落ちてきた。その温もりがまた心地よくて、思い切り抱きしめた。
「ちょっ!侑、起きてるでしょ!」
「うん」
悪びれることなく、輝の頬にキスを降らせる。
「輝、このままもう少し寝よう?」
「だぁめ。朝ごはん食べるもん。寝てる人には作らないよ」
駄目とは言うものの、輝の顔は笑っている。輝にはずっと笑っていてほしい。
「じゃあ、起きるから、おはようのチューして」
「本当に起きる?昨日もそうやって十分くらいチューされたし」
輝だってキスは抵抗しなかった、という言葉は飲み込む。可愛い顔が近づいてきたからだ。
チュッと小さなリップ音の後、柔らかな唇を堪能する前に離れようとしたから、頭を軽く片手で押さえつけもう一度唇をくっつけた。
「んんっ……んぅ……」
舌先で輝の唇をなぞる。輝は素直に口を開いて侑一の舌を迎え入れた。
「はぁっ…ぁ……」
「朝飯食べたら、もう一度ベッドに戻ってこようか」
発情期だけでなく、いつでも番とエッチできる関係になってからというもの、歯止めが効かなくなっていた。日中夜問わず、輝と触れ合っていたい。
むしろ、前までどうやってやり過ごしてきたのか全く思い出せないほどだ。
「ん……卵は目玉焼きとスクランブルどっちがいい?」
「目玉焼きがいいな。半熟にしてくれる?」
「りょーかい。俺も半熟が好き」
もちろん、輝の好みは知っている。
輝のことは何でも知りたいし、覚えてきた自負がある。
上機嫌で輝はベッドから降り、キッチンへと向かっていった。その後を追うように、侑一もベッドを抜け出した。
「侑、今日は買い物に行こう」
トーストを齧りながら、輝が言う。輝から外に行こうと誘うのは珍しい。
「ん?何を買いに行くんだ?」
「侑ったら、忘れちゃったの?明日、侑の誕生日。だから十二時超えたらお酒飲もうよ」
「ああ、ごめん。もうプレゼント貰ったからすっかり忘れてた」
「プレゼント?」
こちらを向いた輝の唇をさっと奪う。
意味がわかったようで、輝の顔がうっすらと赤くなった。
「……恥ずかしいやつ」
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