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第35話
スーパーで缶ビールや缶チューハイ、ワインなんかを選び、チーズと乾き物のつまみを共に購入する。
「家飲みだから、酔っ払っても大丈夫だね」
「そうだな。輝が酔ってるの、見たい」
「どうする?泣き上戸かもよ?」
「笑う方がいいな。笑った顔が一番可愛い」
「また、可愛いって言った」
輝はムッと唇を尖らせる。その仕草さえ、侑一にとっては狂おしく愛おしいと感じているとは知らずに。
「気に入らないのか?」
「侑以外が言ったら口聞かない」
「俺はいいのか」
「特別」
嬉しそうに笑うから、侑一だけはこれからも許そうと輝は思う。
でも、侑一に可愛いと言われると情事を思い出すから控えてほしい……なんて恥ずかしくて言えなかった。
「侑、誕生日おめでとう」
「ありがとう」
ビールを注いだグラスで乾杯する。強めの炭酸と、苦味がやはり大人の飲み物を感じさせる。
「ぷはっ。やっぱ苦いね。何回か飲めば慣れるのかなあ」
以前の飲み会で友人である岡本が飲んでいたのを思い出す。よく何杯も飲んでいたものだ。
「嫌だったら俺があと飲むから、甘いやつ開けたら?」
「んー、だめって感じじゃないからこれは飲むよ。侑と半分こしたら一杯くらいで無くなるし、色んなの飲もう」
「わかった。次はレモンサワーにするか」
冷蔵庫からレモンを絞ったようなイラストの缶を侑一が持ってくる。
「それ飲みやすそう」
ビール、チューハイ、ハイボールと飲みすすめて六缶目が空いた頃、酔いが回ってきたのかふわふわとした高揚感を感じ始めていた。
「侑はお酒飲んでも赤くならないんだねえ」
ぺたぺたと侑一の頬を手のひらで触る。
「そうか?輝はもともとの肌が白いからわかりやすいかもな」
「あ、やっぱり赤くなってる?暑くなってきた気がするんだよねえ」
侑一が「あーん」と差し出したチーズ鱈を口を開けて迎え入れる。
横並びに座っていたはずが、今は侑一の膝の上に横抱きのように座らされているのも酔っているからか気にならない。
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