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第36話

「侑、俺たち一緒に大人になったんだね」 「ああ。酒も、初めてのセックスもだな」 「あれ、俺のせいだけど、中学生で初体験って早いよなあ」 「輝は悪くない。発情期が来たばかりの輝に俺が我慢できなかった」  不可抗力だったのは間違いない。けれども、侑一がいたことで一人じゃないと安心したことも少なからず本当だ。 「俺、時々不安になるんだ。俺はコレがあるから、侑と繋がっていられるけれど……」  項の噛み跡に触れる。  侑一にどうやったら飽きられないか、好きでいてもらえるかわからない。とポロリと口から出てしまった。  それを聞いた侑一は、輝の頭を撫でて言った。 「俺の愛が足りないんだな。わかった。輝には重いかもしれないと遠慮していたが、やりたいことは全部伝えるようにしよう」 「やりたいこと……?」 「そうだな。手始めに、輝のスマホにGPSを付けたい。本当は家から出さず閉じ込めておきたい。俺の知らない輝がいるのは嫌だ」  犯罪だよな、と侑一は自嘲した。 「家から出ないのは無理だけど、スマホならいくらでも貸すよ?中身見てもいいし、GPSつけていいから」 「えっ、いいのか?」  言った本人が戸惑いを見せているのが可笑しくて、輝は小さく吹き出した。 「俺の場所なんか知って楽しいのかわからないけれど……侑がしたいならそうすればいい」  煮るなり焼くなり何でもしたらいいとばかりにスマートフォンを侑一に渡す。  嬉々としてスマホを弄る侑一の首に腕を回した。 「お前の写真フォルダ、飯か俺しかないのな」 「うん。ねえ、暇だから俺にも侑のスマホ見せて」  テーブルに置いてあったスマートフォンを輝の右手に持たせてくれる。 「ああ、ほら。暗証番号は輝の誕生日だから」 「わかった。って俺の?」 「そりゃ、死んでも覚えていられるナンバーだからな」

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