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第7話 同級生にバ美肉バレした美少年

最悪の顔バレ配信の翌週、行きたくなかったが何とか足を引きずりながら登校した。 まさか校内に僕の配信を見てる奴なんているわけない、そうわかっていても胃が痛かった。 その日はため息ばかりついていた。授業は少しも頭に入って来ない。 大学附属の高校だから受験は無いものの、試験に合格しないと留年はするからちゃんとしないといけないのに… チャイムが鳴り昼休みに入った…食欲なんて無いので机に突っ伏してやり過ごそうと思っていた。 「はぁ…」 「皐月、ちょっといい?」 「え…なに?」 声を掛けてきたのはいわゆる1軍の男子で、クラスでも2番手くらいの瀬川だった。 背が高くて黒髪の塩顔イケメン。性格は冷たそうな奴だけど、密かに好みの声だとは思ってた。 「話あるからちょっと」 「ん…」 こんな時じゃなければ声聞けてラッキーくらいだけど、僕はそれどころじゃ無いから放って置いてよ。  面倒だけど断れる相手でもないので仕方なく付いていく。 「こんなとこまで連れてきて何の用?」 誰も利用しない、今は使われてない古い水飲み場まで来た。 スマホの画面を見せながら瀬川が言う。 「これ、皐月だよな?」 「あ……」 頭が真っ白になった。昨日の配信のスクショ…!? 顎を掴まれて上を向き、濡れた目でボーッと視線を彷徨わせている顔。 イッた直後の… 全身に鳥肌が立った。 ガタガタ震えてくる。 「な…なんで瀬川がコレ…もぅ、やだぁ…」 僕は立ってられなくてその場にしゃがみ込んで膝に突っ伏して泣き出した。 「やっぱり皐月だったのか」 「うっ、ぅう…お願い…何でもするから…誰にも言わないでぇ…うぇっ」 「おい、落ち着け。誰にも言ってない」 「ほんとぉ?」 僕は泣きながら瀬川を見上げた。 「お前、大丈夫なのか?これ顔出して…つーか無理矢理やらされたんじゃないのか?」 「ふぇ?…なんでわかったの」 「やっぱりそうか。最初から様子がおかしかったし、最後に男の胴体と手だけ映ってすぐ消えたから…脅されでもしてんのかって思って」 「うぅ…ひっく、脅されたぁ、怖くて…逆らえなくて…うっ怖かったよぉ」 「おい、声抑えろ。ほら鼻水出てるから」 ティッシュくれた。優しい…?冷たそうと思ってたけどそんな事ないのか。 「でも瀬川何でこれ見てたの…?」 「いや…はぁ。実は初期の頃からずっと見てた。それで…兎月アイのビジュアルがお前に似てるって思ってた」 「えっ」 「まさか本人とは思わなかったんだよ。おっさんのアイコン使ってたし中身はおっさんなんだと…」 やっぱりちゃんと騙せてたんだ。 「うん…カモフラージュのために…」 「そういうことか。そんで昨日たまたま生配信見てたらいきなり中の人出てきて、しかも目元見えないけど顔とか声が皐月にそっくりで」 「うん…グスッ」 「なんか具合悪そうだから大丈夫かなって思ってたら…ハッキリ顔映って終了だろ?途中から咄嗟に画面録画してて、見返したら…」 「見返さないでよぉ!」 「あ…ごめん。お前なのか確かめたかったから。いや、それでチャット読んでたら…その…」 「なに?」 「あれって下でエロいことしてたの?」 「へっ!?」 僕はさっきまで寒気がしてたのに一気に顔が火照った。そうだ、僕、瀬川の見てる前でイッたって事じゃん!クラスメイトの前で! 「や…やだ…やぁ…だって、だって無理矢理ローター入れられて…」 「ローター?!」 瀬川が目を剥いた。 「あ…」 こんなことまで言う必要無かった… 「恥ずかしい…死にたいぃ…」 「あ、す、すまん…えっちだってチャット見て、顔よく見たらその…たしかにえっちな顔に見えて…」 「死にたい…殺して…」 「ごめん…正直…動画見て抜いた」 「は!?」 「ごめん、ずっとファンだったんだ。アイちゃんの」 「アイちゃん…瀬川がアイちゃんだって…うわ…」 「引くなよ!お前のキャラクターだろ!」 「瀬川ってオタクなの?」 「黙れ。兎月アイのファンなだけだ」 「あー…ふーん…それで僕のえっちな顔見て抜いたんだ~へ~…」 「お前、泣いてたくせに急に調子に乗るなよ…」 「助けて瀬川」 「は?」 「大人に脅されてるの。俺で抜いたの黙っててあげるからお願い助けて?」 「え、は?!黙っててあげるって、それはこっちのセリフだろ」 「え?じゃあ瀬川も僕を脅すつもりでここに呼んだの?何する気?僕の身体が目当てなの?」 「いや、そういうことじゃないから…ただ気になって…」 「助けてくれないの?」 兎月アイの真似をして上目遣いで小首を傾げる。 「……お前それわざとやってるだろ」 「お願い♡」 両手も顔の前で組み合わせてポーズをつける。 「兎月アイの非売品のグッズもあげるから!」 「ぐ、わかったよ…俺で力になるのかわかんないけど…同級生が脅されてるの放っておくわけにも行かないしな」 「よかったぁ、死ぬほど怖かったから仲間できただけで嬉しい」 気が抜けてふにゃっと笑ったら瀬川の頬が少し赤くなった。 瀬川は本当に兎月アイが好きなんだな。 さて…どうにかしてカミヤさんの持ってるハメ撮りのデータを削除しないと。

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