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第10話 胸のモヤモヤ

「うわ、ごめん口の中で出して!大丈夫?吐き出して!」 「飲んじゃったぁ…」 僕は興奮しすぎてつい飲み込んでしまった。 「美味しくないぃ…」 「え!?ばか、当たり前だよ!口濯がないと」 「うん…」 瀬川は部屋にあったティッシュを見つけてきて俺の汚れた口の周りや、手、性器まで拭いてくれた。 「あっやめて、そこは自分で拭くよ!」 問答無用で股間も綺麗にされてファスナーまで閉められた。 「いいから!はい、これでよし。口濯いできて」 「あ…ありがとう」 バスルームで口を濯いで戻ると、汚れた床なども瀬川が拭いておいてくれた。 「ごめん…片付けさせて」 なんだか気まずい。 いきなりサカって同級生の前でオナニーまでしちゃった…だって声が良すぎるんだもん…。 「あ!ていうかごめん、勝手にフェラなんてして…」 「いや、別にそれは…気持ちよかったし」 「本当?」 僕が顔を見上げると瀬川は顔を赤くした。 「う、うん…お前の顔見てたらなんかすげぇ…グッときた」 僕も顔が火照った。恥ずかしくて俯く。 「そういう顔は…初めて見るな」 「え?」 「いや、照れてる顔可愛いなと思って…」 頬に手を添えられる。 「え…あ…」 「あ、ごめん、変なこと言って。ほら!俺、アイの顔好きだから。その、そういう顔は配信で見たことないなーって。ははっ」 「あ、ああ。そういうことね!あはは。びっくりしたぁ」 あれ? なんで僕今ちょっとガッカリした? 瀬川はアイが好きなだけなんだから当たり前じゃん。 「あ、それで…その社長の件どうする?」 「そうだった…!それ話すために来てもらったのに僕あんなこと…」 「えっと、今日はもう遅いからまた明日話そうぜ」 「うん、そうだね。ごめんね来てもらったのに」 「いや、配信部屋見れてよかったよ」 「ん…」 玄関まで見送る。 「じゃあ帰るわ!」 「うん。じゃあまた明日ね」 「ああ」 ドアが閉まってからもしばらくその場で瀬川の出て行ったドアを見つめていた。 なんだか胸がモヤモヤする。頭はふわふわするし…。 瀬川の声で好きって何度も言われてキスされて…勘違いしてバグってんのかな僕の脳みそ。 「はぁ…」 だめだめ、瀬川はそういうんじゃないから。兎月アイのファンなだけ。 ゲイの僕なんて気持ち悪いだけ。 でも、まさかフェラさせてもらえると思わなかった。 同級生のアソコあんな間近で見るのなんて初めてで興奮しちゃった。 イク時の顔も見ちゃった…クラスでも人気ある瀬川の、気持ち良くなった顔すごく…エロくてかっこよくて… また見たいな。でももうあんなことしてくれないよね。 翌朝学校で会ったときなんだかすごく気まずくて、向こうから普通に挨拶してくれたのに目を見られなかった。 俯いてぼそっとおはようとだけ言った。

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