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第11話 【side瀬川】現実と虚構のバグ

皐月の家からの帰り道、早足で歩きながら俺は冷や汗をかいていた。 ――危なかった。 なんだあれ?なんなんだよ?? 皐月はどうかしてる。だってエロすぎだろ…。 あのまま下手したら無理やり押し倒して最後までしてしまうところだった。 変な男に引っかからないように俺の声を聴かせてやるなんて言っておいて…それじゃあ皐月のことを抱いた男たちと同じじゃないか! 「くそ、何が自分のこと大事にしろだよ!」 だけど、あの目で見られたら…あの顔でねだられたら、何でもいうことを聞いてやりたくなるのはよくわかった。 きっと、皐月のことを抱いた男たちもそうだったんだろう。 気持ち良くさせて、喘がせて、喜ばせたくてしかたなくなる。 名前を呼んで、可愛いって言うと白い肌にうっすら赤みが差して… 好きだというと耳まで赤くなって恥ずかしがる姿がたまらなかった。 大きな目が潤んで…濡れたピンク色の唇に吸い寄せられるようにキスしてしまった。 好きだって言いながらキスしたらビクビクって震えて… よく見たら皐月は勃起していた。 俺の声とキスで感じてるんだと思うとぞくぞくして、もっとめちゃくちゃにしてやりたいって思ってしまった。 華奢な肩に置いた俺の手はじっとりと汗ばんでいた。 あのまま押し倒して、欲望のままにペニスを捩じ込んで思い切り…一瞬そんな妄想が頭を過ぎった。 だけど、なんとかそれを抑えて皐月の身体には肩にしか触れなかった。 本当は直接あいつのを擦って出してやりたかったけど、それをしたらもう歯止めが効かなそうだったから。 なのに、結局イク顔を見ておれは我慢できず皐月の目の前でペニスを出してしまった。 そしたら皐月が俺のを咥えて…! 「なんなんだよあいつ…普通いきなり咥えるかよ」 皐月はイメージと全然違って、性的に奔放で、我慢というものを知らないらしい。 お綺麗な顔に似合わず、控えめに言って淫乱だ。 今回の件で話すようになるまで、そこまで俺たちは親しくなかった。 グループで遊ぶときたまに学校以外でも会ったりしたけど2人で喋ったことは殆どなかった。 学校でもあんまり笑ってるのを見たことがないし、大人しくて人形みたいに綺麗な顔の男子ってイメージだった。 どっちかというとちょっと人を寄せ付けないような…何もかもつまらないって顔をしてる奴。 女子にもモテるけど、彼女がいるという話を聞いたことがなかった。 今回ゲイって聞いて納得した。 実際、「あいつなら男でもいける」ってふざけて話してる男子もいた。 俺も正直、あの顔が好みなんだと思う。 兎月アイの配信を見るようになったのも、最初見たとき皐月の顔に似てるなって思ったからだった。 俺はゲイじゃないし女としか付き合ったことないけど…。 前は「あいつなら男でもいける」って言ってた奴らのことバカにしてたけど、全然いけるしむしろ今となっては抱きたい気持ちを我慢できる自信が無くなってきた。 いや、だめだ。 俺は他の男たちとは違う。 あいつを傷つけたいわけじゃない。 性欲を押し付けて汚したくない。 兎月アイと重ねてるだけなのか…もうよくわからないけど、大事にしたいって思う。 だから俺は社長の考えがわからない。 顔を晒して配信? 俺なら誰にも見せずに自分だけのものにしたいって思うけどな。 いや、何を考えてるんだ。 あいつは兎月アイじゃないんだぞ。 俺は皐月のことを好きなわけじゃない。 ちがう……はずだ。

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