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第5話

『朝、か』 美玲が起きた時には剛 の姿はなかった。 『まず、お風呂に入らないと』 ふらつきながらも、美玲は 歩いた。 お風呂に入ると、執事の 安藤が食事の用意をしていた。 『ありかとうございます』 礼をいい、頭を下げると 驚いた顔で僕を見ていた。 「私に礼はいりません。  美玲様のような方は  初めてみました」 『身分は関係ありません。  礼を言うのは当たり前  です』 美玲は、父からそう教わって きた。何かをしてもらったら 礼を言いなさい、と。 「美玲様の家族は素晴らしい  教育をしていらっしゃる。  だから、剛様も気に入った  のですね」 『剛様が?そんな訳  ありません』 「いいえ。今朝剛様は  とても、機嫌がよろしかった  です。あのような、剛様  は久し振りに見ました」 『そうなんですか・・・』 美玲はあの呪縛のような 言葉を思い出した。 (これから、お前は私の物だ。) この言葉は美玲を縛り付ける のであった。  

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