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第3章 歪み 07
この日、俺は初めて、亜矢のナカに自分の欲を吐き出した。
それは情事を始めてから一度も犯したことのない行為。
これまで守ってきた、亜矢と己に対する尊厳。
それを粉々に打ち砕くように、何度もソコを自分の体液で満たした。
意識を手放した亜矢をそっと横たえて、温めた濡れタオルで全身を丁寧に拭く。
細い両脚に手を伸ばした時、その間を伝う白濁の液が目に入った。
何故か押し寄せてくる、罪悪感と虚しさ。
どうしてこう、人間の心は矛盾しているのだろう。
壊したいほど好きなのに、いつまでも守りたかった自分がいる。
強引にでも手に入れたいと思うくせに、泣き顔だけは見たくなかった自分がいる。
……ああ、絶望したくなるほど、身勝手だ。
心を鎮めるように長く息を吐く。指先で柔らかな髪を梳いたあと、涙で濡れた頬に触れた。
――殴られるでも、汚い言葉で詰 られるでも、どんな罰であろうと受け入れる。だから。
「俺を怨んでくれ。……お願いだ……」
亜矢の心を支配できるのなら、どんな形でもいい。
亜矢に出会って、生まれて初めて恋というものを自覚した。
その時の感情はもう、歪んでしまったのだから――
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