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第3章 戒め 04※※

つっ、と双丘に指を這わせ、あいつの体液で濡れる後孔に二本の指を一気に挿し入れた。 「ひっ!……」 「痛くないだろ。君は穢されたんだよ、沙雪に、ココを。  あいつにどんな手で懐柔されたのかは知らないが、ずいぶん慕っていたよな。解っただろ?所詮、あいつも唯の男だ。……それでも、まだ庇うか?」 「っ……」 無言でいる亜矢に、再び憎悪の感情が湧き上がった。 腰の下にクッションを差し入れて尻を浮かせる。 「自分で掻き出せ。そこに入っているあいつのものを」 「っ、や……」 「どうした?このままじゃ、俺が挿れられないだろ。  それとも何か?あいつとのセックスの方が悦かったのか?」 眉根を寄せて、ふるふると首を左右に振る。 「じゃあ、早くやれ。俺の目を見て、するんだ」 何か言いたげに唇を震わせてから、ぎこちなく細い脚を開き、左手で太腿の裏を支えさらに腰を上げた。そして、涙を溜めた瞳で俺をじっと見つめながら、右手を中心に伸ばした。中指がゆっくりとそこに飲み込まれる。 「はっ、ん……」 「一本じゃ駄目だろ?」 諭すようにそう言うと、亜矢は人差し指を挿し入れ、二本の指で孔を開げた。そして掻き出すようにさらにナカで指を曲げた。 「ひ、んんっ」 腕を目一杯伸ばし、奥の方を触るうちに、どんどん眉尻を下げ、頬が紅く染まってゆく。 次第に膝が閉じていくのを、拒むようにぐいと押さえた。 「ちゃんと開け。出せてるか見えないだろ」 「や、ぁ……っ」 「ごめんなさい、は? “貴方以外のでいっぱいにしてごめんなさい”って」 見開いた目から涙がボロボロと溢れていた。 決心したようにギュッと目を瞑り、消え入りそうな声で、まったく同じようにその言葉を紡いだ。 ヌチャヌチャという音とともに浅い呼吸が聞こえる。そして開けていた目が段々と薄くなり、目元が紅くなる。ふるりと勃ち上がったモノの先端から透明の液が溢れていた。 「っふ……、ん、あ、あ……」 「気持ち良く弄れとは言ってないだろ。もういい」 両手をぐいと掴み腕を上げさせる。そのまま手首をハンカチで縛った。 「結月さ……い、たい……」 恐怖に怯える瞳が俺を見つめる。 それを見ていられなくて視線を逸した。 ――馬鹿げている、こんなこと。それでも、やらなければ。躊躇するな……。 緩めたネクタイを襟から引き抜き、それを使って亜矢の視界を奪う。 「ゃ!な、に……」 「誰にでも感じるなら、俺なんか見えなくてもいいだろ」 閉じた内股を再び手で押して広げ、後孔に指を埋める。すぐに前立腺を指先で強めに押すと、悲鳴のような声を上げた。 「何回、ココで達かされた?言ってみろ」 「や……」 「言えないほどか? ――とんだ淫乱だな」 自分でも驚くほど、熱を持たない低い声が口から出る。 目元を覆った布の隙間から、一筋の涙が静かに頬を伝うのを見た。 ――あれほど大切にしてきたもの(亜矢)を、一番残酷な言葉でいたぶり、壊す。 これは自分自身への戒めだ……

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