103 / 126

第5章 真実 20※

遣り切れない想いは、自分でも理解できないほどの強い衝動に変わった。 亜矢の細い腕を強引に引いて、部屋に入るなり制服のブレザーとベストを脱がす。その反動で大きな音を立てて荷物が落ちるのも気にせず、直ぐにベッドの上に押し倒し、縫い付けるように両手を顔の横に固定したまま乱暴に口づけをした。 唇を重ねたのは初めてだった。あれほど私欲にまみれた行為をしたくせに、それだけはしてはいけないと、亜矢に対する情けがあったからだ。 「ふ、っ、ん……ぅ」 亜矢はどうすることもできないのか、唇が離れる度に苦しそうに息継ぎをし、口の中で暴れ回る舌に弄ばれるままだった。制止の言葉はなかったが、全身が強張っているのが嫌でも分かった。 唾液の溢れた口の端を舐め、そのまま首筋から鎖骨へと舌を這わせる。その間にボタンを外したシャツを肩から落とし、露わになった白い肩口を甘噛みした。 「あ、の、千尋兄……」 「やめろ」 「っ!……」 「その呼び方、やめろ。萎える」 性急に足から制服のスラックスと下着を抜いて、中心のモノを直に触ると、既に熱を持っていた。そのことに何故か苛立って、濡れた先端を親指で強く擦る。 「んっ、あ……ッ」 「お前、期待してたの?」 「ぁ……っちが……」 「俺に舐めてもらうの、ずっと待ってたんだろ?」 亜矢は顔を真っ赤に染めてふるふると首を横に振った。 ――本当に分かりやすいんだよ。 亜矢の熱くなった手を掴み、そのまま自分の下半身に導く。 「今日はお前がシて」 ハッと潤んだ瞳が俺を捉えた。何か言いたげに、唇が震える。その反応をするのは当然だった。今までソレを要求したことは一度もない。 亜矢は少し戸惑う様子を見せた後、何も言わずに上体を(かが)め、スラックスのボタンに手を掛けた。

ともだちにシェアしよう!