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第8-3話不自然な地面

「う、ん……微笑ましくて弟妹のイタズラにはよくかかっていたが……それとこれを一緒にするな! 子供たちをロクでもないものと一緒にして汚すな! すべての子供たちに謝れ……っ!」 「何を子供の守護神みたいなこと言ってんの? 退屈なこの時間を少しでも楽しく彩る冗談を言っただけなのに……ムキにならないでよ、もう」  おもむろにエルジュは後襟からグリオスの手を払い、肩をすくめながら隣に並ぶ。その時、 「あ……っ」  エルジュが声を上げて立ち止まり、つられてグリオスも歩みを止める。  目の前に広がったのは、小部屋のように丸く開けた場所。  その中央は不自然に盛り上がり、何かを埋めたような跡があった。  あまりにもあからさまなワナの気配。  もっと分かりにくくする方法はいくらでもあるだろうに。  稚拙なワナにグリオスは口端をヒクヒクとさせる。  しかし隣のエルジュは視界の端でも分かってしまうほど、喜びに顔を輝かせていた。 「待てエルジュ。あんなワナ、面白くもなんともないからな? 絶対に飛び込むなよ? 踏まないよう壁伝いに歩いて回避するぞ」 「分かってるって。これは流石に稚拙過ぎて面白くないから」 「そ、そうか。じゃあ行くぞ」  少し安堵しながらグリオスはワナの迂回を始める。  ……ゆらり。エルジュの頭がグリオスを横切り、飛び出していた。 「やっぱり無理。試したい! どんな雑なワナか、ちゃんとこのカラダで確かめてあげないと……っ!」 「やめろと言っただろうがぁぁっ!」  グリオスは咄嗟に前へ跳び、エルジュに抱き着いてその身を元の場所へ突き飛ばす。  入れ替わりにワナへ飛び込む羽目になったグリオスは――ボコォッ!  盛り上がった地面に肩が当たった瞬間、大穴が開き、グリオスの体は転がり落ちていった。

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