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第9-1話ゴブリンの根城へ

「うわぁぁあぁあぁぁっ!」  体のあちこちが岩盤にぶつかり、痛みでグリオスは顔をしかめる。  普通の落とし穴なら垂直で、その下に鋭く尖ったものを立てて絶命を狙ってくるもの。  しかしこのワナには、まるで勢いが出たら困るかのように勾配に緩急がついており、勢いよく滑り過ぎない工夫がされていた。  ただ殺すつもりではないらしい。だが逃がすつもりもないのか、スライムの体液でも垂らしたような滑り気があった。  力を入れて動きを止めることができず、グリオスは擦り傷をこさえ、新調したばかりの服をボロボロにし、妙な滑りを体にまとわせながら落ちていく。  ――バフッ。  不意に虚空へ放りだされたかと思えば、柔らかな布地がグリオスを受け止めた。 「うぅ……こ、ここは……?」  めまいを覚えながらグリオスは仰向けのまま、瞳だけを動かして辺りを見回す。  横も上も岩盤で囲まれ、未だ洞窟内だということは分かる。  しかし全貌がまだ見えずとも中は大きく開けており、壁はゴツゴツした所と石切したようにつるりとした所がある。何者かによって手が加えられ広げられた場所なのは一目瞭然だった。  そんな詳細な状況が分かるほど辺りが明るい。  次第にグリオスのめまいが落ち着き、周囲の音が耳へ入ってくるようになる。

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