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第10-1話救いが到着?

 無意識にグリオスの手が、剥き出しのゴブリンの欲情へ伸びようとする。  ――ふとエルジュの顔が脳裏へ浮かび、その手が止まった。  ここで魔物に堕ちてしまえば、本当に体が欲するままに快楽を求めるだけの存在になってしまう。  エルジュをほったらかしにして、自分だけの世界に閉じこもる……それだけは絶対にしたくなくて、グリオスはなけなしの理性で込み上げる衝動を堪える。  だがグリオスの気持ちなどお構いなしに、ゴブリンの手は鍛えられた四肢を這い、肉棒をこすりつけ快楽で追い詰めてくる。その最中、 「ちょっと、オレのいない所でヤらないでよ――っ!」  上の方からエルジュの声がしたかと思えば、ばふんっ、と下の布が大きく揺れ、グリオスを囲んでいたゴブリンたちが大きく跳ね飛ばされた。  体を起こすことができず、グリオスがぼんやりと仰向けになったままでいると、緊張感皆無の見慣れた美しい顔がにんまりと見下ろしてきた。 「うわぁ、デキあがっちゃってるねーグリオス。もしかして中までぐっちゃぐちゃにされた?」  興奮で頬を染め、無邪気に目を輝かせて尋ねてくるエルジュへ、グリオスは小さく首を振る。  お前という奴は! と怒鳴りたい気持ちがあるのに、口は物欲しそうに半開きになったまま。疼いてたまらぬ身を訴えるように瞳は潤み、エルジュの情けを求めてしまう。

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