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第15-2話北の森へ
モミモミと尻を揉みしだかれてしまい、グリオスはパシッとエルジュの頭をはたいた。
「やめろ! さあ今から森に入るんだ。気を引き締めてくれ」
「はぁい、分かりましたー」
強引にグリオスが腕を引き離すと、エルジュは苦笑しながら肩をすくめる。
そして歩き始めると隣で「どうやって啼かせようかなー」とブツブツ言い始め、グリオスは頭を抱えながら唸るしかなかった。
少し先に進んだだけで毒々しくうっそうとした枝葉に日の光は遮られ、薄暗い中を進んでいく。
幸い、森の中を真っ直ぐに伸びる一本道を進んでいけば抜けることができる。道に迷う心配はない。
何事もなければ、二刻ほど歩いて森を出られる。
すでにそのことを事前に地図で確かめていたエルジュは、鼻歌まじりで呟く。
「フフ……早く着いて、明るい内にグリオスとヤりたいな。普通のグリオスとヤるのは初めてだもんねー。いっぱいヤりたりなあ……」
「エルジュ……頼むから、もうしゃべるな」
「どうして?」
「気が散って集中できないだろ。いつ魔物が襲ってくるか分からないのに」
「意識しちゃう? もう数えきれないほどヤってるのに今さらじゃない? いつまで経っても初々しいんだから」
小さく吹き出して笑うエルジュを、グリオスは恨めしく睨みつける。
視界にチョロリ、と。
エルジュの背後で何かが蠢いた気がした。
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