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第16-1話いつもと違うエルジュ
「エルジュ、危な――」
「うん大丈夫。分かってるよー」
一切振り向きもせず、エルジュは右手を上げて光を放つ。
ピュンッ――ジュウゥゥゥ……。
光に当たった瞬間、蠢いた何かは瞬く間に煙となって消滅した。
……エルジュがまともに反応した。
思わずグリオスが目を丸くしていると、エルジュは得意げに胸を張った。
「本気を出せばこれぐらい楽勝だから。その気になれば光の結界を張って、森に巣食ってる魔物ごと消滅させてもいいんだけれど、さすがに疲れるし、そんな時に襲われたらちょっと危ないからねー。確実にグリオスとエッチするための手段を選ばせてもらうよ」
珍しく顔をキリリと引き締め、真面目な口調でエルジュが語ってくる。
こんなに真剣な顔をするのはいつぐらいだろうかと思いながらも、その理由が自分と寝たいからだとは……とグリオスの目が遠くなった。
もっと早くにこの体をエサにして、しっかり魔物退治をさせたほうが良かったのか? いや、でも普通にエルジュの相手をしていたら身も心も持たない。絶倫のコイツを満足させようと思ったら、魔物からのいかがわしいワナにかからなければ付き合いきれない。
腕を組んで考え込みながらグリオスは歩みを再開する。その隣でエルジュは相貌を崩し、軽やかな足取りで道を進んでいった。
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