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第17-2話足元を見れば
――ばゆんっ。
触手の体は思いのほか弾力があり、グリオスが衝突しても打ち身の痛みすら感じなかった。
だが、ベトリと。
触手から滲み出た体液に塗れ、グリオスは全身に激しい疼きが沸き起こった。
「は……ッ……あ、ぁぁ……っ……」
身悶えるほどに体液が付着し、グリオスを淫らな生き物へと変えていく。
溶けゆく理性の中で仰向けば、木の上で揺れながらも枝に乗り、グリオスを覗き込むエルジュの姿があった。
どうにか避難できたことを確認して、グリオスは小さく安堵の息をつく。しかし顔をしかめて歯軋りをしてしまう。
こちらを見るエルジュの顔が明らかに欲情し切っている。
自分も仲間に入れて欲しいと飛び込んできそうな気配に、グリオスは激しく首を振って訴える。
ねちゃっ、べちゃっ。
動くほどに触手の体液はさらに量を増やし、辺りへ飛び散るほどになる。
その粘ついた飛沫が口に入った途端、グリオスの頭の芯が甘く蕩けた。
「ふぁ……ぁ……ん……はぁ……」
ぐったりと弛緩したグリオスへ、森の暗い所で蠢いていたもの――数多の触手が我先にと近づき、その身を貪り始める。
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