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第19-1話心の奥底まで染みついたもの

「エルジュ……っ、きて……はや、く……だいて……ッ……」  おびただしい快楽で意識が朦朧としながらも、グリオスはエルジュに懇願する。  どれだけ魔物によって淫らにされても、中に迎えてもいいと思うのはエルジュだけ。  心の奥底まで染みついてしまったものが、意図せずにグリオスの口から出ていた。  自分を求める声を聞き、エルジュの顔から表情が消える。  そして恍惚と多幸感に溢れた笑みを浮かべ、腰の剣に手を置いた。 「そっかあ……そんなにオレとヤりたかったんだ。こんなに理性がグズグズになっても言えちゃうほどだなんて、ホントーにグリオスってエロいよねー」  鞘から抜き、覗いた刃がまばゆい光を放つ。  刹那。エルジュは煌々と自ら輝く剣の柄を両手で握り、木を蹴って勢いよく巨大な触手の渦へと飛び込んでいく。  グリオスの目前に現れたエルジュは、真下に剣を深く突き立て、口端を大きく引き上げた。 「――肉欲まみれのグリオス、大好き」  横目で艶めかしい視線をグリオスに送りながら呟くと、エルジュは全身を光らせる。  そうして剣へと光が伝わり、大きな触手へ無数の真白い線が走り抜けていく。次いで数多の触手たちにも光は伝染し、森全体で火花が散ったように輝いた。

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