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第26-2話※エルジュの本音

「鈍感なのか、気づいていて言わないだけなのか……ズルいもんねーグリオスは」  ゆっくり顔を近づけながら、エルジュはそっと囁く。 「大好き、グリオス。ずっとオレだけのために居てよ」  力があると分かっても、勇者と崇められても、魔物のワナに惹かれるフリをしても、危なっかしいからと手を伸ばし、全力で守ってくれるのはグリオスだけ。  この世界の誰もが「エルジュは大丈夫だ」と過信し、縋ろうとする中、グリオスだけがずっと変わらずに人として見てくれる。  好きにならないはずがなかった。  勇者となって旅立った目的も、グリオスの気を引き、仲を深めながら隣を誰かに奪われないため。  湧き上がる性欲もすべてグリオスに向き、身も心もすべて奪いたくてたまらなかった。  だからこそ本音を晒したせいで、グリオスに拒まれて逃げられてしまう可能性が怖くて仕方がない。  誰もグリオスの代わりにはならない。  心から欲しているのは彼だけ。他は何もいらない。どんな富も地位も名誉も興味はない。光の祝福を受けたこの力ですら、グリオスが手に入らないなら不要だと捨てられる。  このままグリオスと真に結ばれたらいいのに――。  未だに勇気が持てず、起きている時に気持ちを伝えられない自分の臆病さを嘲笑してから、エルジュはグリオスの頬を撫でながら呟く。 「ねぇ、グリオス……オレのこと、好き? ちょっとでいいから教えてよ」  まったく期待せず口にした、戯れに切実を紛れ込ませた問いかけ。  かすかにグリオスの唇が動いた。 「……エルジュじゃなきゃ、駄目だ……愛してる……アイツを、裏切れない……」

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