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第27-1話※原因に思い至って
未だ目を閉じたままのグリオスの声に、エルジュは思わずビクッと肩を跳ねさせ身を強張らす。
起きた気配はない。明らかな寝言。
しばらく呆然としてから、ジワジワとエルジュの顔が笑みで緩んでいく。
「え、ウソ……寝てる時に言っちゃうほど、オレのこと好きなの? どうしよ……すごく嬉しいんだけど……っ」
思わずベッドをぺしぺしと叩いて、次々と湧き上がってしまう興奮を散らす。
しかし騒がしくしても一向に目を覚まさないグリオスに、エルジュは一瞬で落ち着きを取り戻す。
改めて顔を近づけ、気を張りながらグリオスの様子を探っていくと、かすかな魔の気配を感じた。
「もしかして、オレがここを離れている間に魔物が来た? 夢に囚われているってことは……夢魔に入られて、グリオスが口説かれてる? オレに操立てようと頑張ってくれてる?」
やっと無理やり言わせたのではなく、グリオスから自然と零れた愛の言葉を聞けたのに。絶賛寝取られ危機という状況に気づいて、エルジュは頭を抱えた。
「やってくれたな……っ。夢の中じゃあ直接攻撃できない。少しずつ力をグリオスに注いで追い出すしか――はぁぁ……また怒られて気まずくなるの? 勘弁してよ」
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