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第33-2話魔王と対面

 歩く距離こそ長かったものの、戦闘もワナもなく、無傷で二人は魔王城の前に立つ。 「いよいよだな。準備はいいか、エルジュ?」 「オレはいつでも準備できてるよ。魔王もオレの前ではスライムと大差なし……一撃でやっちゃうから」  エルジュの場合、誇張ではなくて事実。はっきりと一撃でいけるというなら間違いないと、グリオスは自分よりも一回り小さな背を叩いた。  どちらともなく大きく開かれた門を潜り、魔王城へと足を踏み入れる。  赤い絨毯が敷かれた廊下を駆けていけば、天井が高い大きな広間へと出る。  目の前には禍々しく大きな椅子に腰かけ、脚を組み、ひじ掛けに頬杖をつく男がいた。  鋭い目をした赤毛の青年。見た目通りに気が強いらしく、エルジュたちを見た途端に睨みを利かせ、殺気を漂わせてくる。  そして彼の隣には凛々しい顔立ちの男が立っていた。  紫がかった黒い巻き毛が見事な髪に余裕ある微笑み――グリオスが目を向けた瞬間、やけに色気のある男はさらに口端を引き上げた。  会ったことはないはずなのに、この男には見覚えがある。  内心首を傾げていると、エルジュが剣を抜いて彼らへ切先を向ける。 「一応念のために聞くけど、アンタが魔王ってことでいいかな?」  赤毛の青年はギリッ、と悪歯を噛み締める。 「ここに座っている時点で察しろ! 他の魔物と違って俺は逃げられないんだよ……貴様らがいなければ、好き自由にできたのに……っ」

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