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第36-1話抗い難い誘惑

 ゆっくりとインキュバスは魔王を下ろし、うつ伏せに寝かせようとする。  もう終わりを迎えたのかとグリオスは思ったが――繋がりを解かぬまま、インキュバスは魔王の腰を持ち上げて行為を続ける。  出し入れではなく、奥を揺らして魔王を更なる快楽に沈めていく。  力を失っていた魔王の手がピクリと動き、小さく喘ぎながらシーツを掻いてインキュバスに溺れていく。  いったいどれだけ俺は見せつけられるんだ? ……気が狂いそうだ。  自分の番が来ないことを喜ばなければいけないはずなのに、やめてくれないインキュバスをグリオスは恨めしい目で見てしまう。  そんな心の動きを把握しているかのように、インキュバスは行為を続けたままグリオスに話しかけてきた。 「俺に抱いて欲しいか、グリオス?」 「……ふざけるな……っ……断る……」 「ここは夢の世界。俺の領域……お前のすべてが手に取るように分かるぞ。早く自分の番になり、俺に貫かれて快楽に沈みたい……強がりを言うだけ無駄に苦しむだけだ」  インキュバスの低い声を耳に入れるだけで頭が甘く疼き、キュウ、キュウ、とグリオスの中が欲しがるように締まる。そんな身勝手な体の動きで疼きはさらに酷くなり、雄が欲しいという雌の思考に侵されていく。

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