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第37-2話切実な声
もうこの体はインキュバスが言ったように、魔へと変わる種が埋め込まれているのだろう。
しかし芽吹くためにはインキュバスの精が必要――つまり、体を許さなければ魔にはならないということ。
ずっと体は淫らなままで、酷い疼きが続いてしまうかもしれない。
それでもエルジュを一人にしなくて済むなら、どれだけでも我慢してみせる。
インキュバスたちの痴態よりも、グリオスの意識は外のエルジュへ完全に向いた。
「何があっても俺だけはお前から離れない。だから取り乱すな。愛している、エルジュ……」
届くはずがないと分かった上でグリオスは告白を呟く。
その直後だった。
「こらぁぁぁっ、オレがいない時に素直にならないでよぉ――っ!」
鮮明な声が真上から降ってきたかと思えば、勢いよく落ちてきたエルジュが腕を広げながらグリオスへ飛び込んでくる。
ドォォンっ。夢なのに衝撃は大きく、受け止めたグリオスは一瞬息が詰まって目を白黒させる。
すぐに視界を取り戻せば、視界一面にグリオスを押し倒して覗き込んでくるエルジュの顔があった。
目を合わせた瞬間、今にも泣きそうに顔を歪ませてエルジュが笑う。
しかしそれは一瞬だけ。今度は目を据わらせながらグリオスの肩を掴み、ガクガクと揺さぶってきた。
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