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第38-2話降ってきた勇者
「もう気が早いんだからーグリオスは。恋人通り越して教会で愛を誓い合って、伴侶になっちゃうだなんてー……もう。最っ高。番っちゃおうよ。新婚旅行は世界一周抱き潰し祭りにしよう!」
「暴走を始めるなっ! しかもなんだその祭りは……っ。やめろ。落ち着け。勝手に妄想のまま突っ走らないでくれ!」
「妄想だなんて、そんな……オレはただ自分の心に素直なだけ。絶対に逃がさないから――」
インキュバスが見せる夢の中で、俺たちは普段のノリのまま言葉の応酬を繰り返す。
夢にまでエルジュが入ってくるとは思っていなかったのか、魔物二人が素を取り戻し、唖然となってこちらを見つめ続ける。
困ったことに、疼きを重ねたグリオスの体にエルジュが抱きついて離れてくれない。
バシバシと背中を叩いて離れるように訴えても、逆に抱擁を強めるだけ。
腕の締め付け、息遣い、体温、そして、
「愛してる、グリオス。何度だって言うからね。聞いてないとか、覚えてないとか、そんな意見は全部認めないから。勘違いのしようがないように、毎日お腹いっぱいになるまで言っちゃうから」
笑いを滲ませながらも、どこか縋るように言ってくるエルジュ。
体どころか心まで包んでくるエルジュの存在に、グリオスの体が疼いてたまらなくなる。
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