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第39-2話真実は体に聞くしかない
小さく頭を振ってグリオスが湧き上がる狂欲に抗っていると、エルジュからクスッと小さく笑う声がした。
「さも真実を語っているように見せているけれど、それ、本当なのかなあ?」
インキュバスの顔が訝しげに歪む。
「なんだと?」
「オレはさ、今来たばっかりで状況よく分かってないんだけど……グリオスに色々教えて、あたかもそれが正しくて、お前とヤるしかないって話に持っていこうとしているのは分かるよ。でもさあ、それが嘘偽りのないことだなんて信じられないんだけど。魔物からの一方的な説明なのに」
腕の中のグリオスの頭や頬にキスを落としながら、視線だけをインキュバスに送りながらエルジュは話を続ける。
「それにさ、催淫効果のある夢を見せながら心を追い詰めて、諦めて身を委ねさせたら繋がって、魔の種を埋めても結果は同じだもんねー。騙して結果を出したら勝利だもの……その手には乗らないよ」
「確かに真実を言う義理はないな。だが、その話が間違いないとどうやって証明する?」
「簡単な話だよ。こうやって――」
肩を軽くすくめてから、エルジュはグリオスの唇を深く奪う。
ねっとりと舌を絡められ、思わずグリオスは「ン……」と感じ入る声を漏らす。
そっとキスを終えたエルジュの親指が、緩んで半開きになったグリオスの唇をなぞる。
「――体に聞いていけばいいだけでしょ。今すぐオレで満たしてあげるから、グリオス」
妖しさと純真さが混じった笑みを間近で向けられ、グリオスから反発する気力が抜けていく。
何も答えられず蕩けた目で見つめることしかできないグリオスの背中が、ゆっくりとシーツに着けられた。
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