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第44-1話二人の処遇

 体を起こそうとしたグリオスに気づき、エルジュが背中に手を回して手伝ってくれる。  そのまま起き上がった直後に唇を奪われ、少し構った後にグリオスは顔をしかめながらエルジュの頭をコツリと小突く。 「……こら、まだ魔王の城だぞ。油断するクセは直してくれ」 「油断してないなら良いんだよね? やっぱり夢だったか……って勝手に落ち込まれたら嫌だし。宿に戻ったら覚悟してよ」 「いくらなんでも、そんなことで落ち込まない――」 「――とは言わせないからね。二度と俺のことで落ち込まないよう、いっぱい教えて分かってもらうから」  まったく容赦してくれないエルジュを目の当たりにしながら、グリオスは実感する。  今までなら軽い調子で話を切り上げていたのに、どんどん踏み込んでくる。ずっと手加減していたのだと思い知ってしまう。  エルジュの本気に怖さを覚えていると、離れた所から小さく唸る声がグリオスの耳に届く。  振り返ってみれば、魔王とインキュバスが折り重なって倒れていた。  魔王は悔しそうな顔で二人を睨みつけていたが、インキュバスは苦しげに眉間にシワを寄せ、魔王に視線を落としていた。 「グリオスの夢から戻って来たらさ、勝手に倒れてたんだよねー。もしかしてあの夢、かなり力を使ってたの?」  エルジュがグリオスを庇うように身を乗り出し、顔を突き出して魔王とインキュバスに臨む。

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