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第44-2話二人の処遇

 ギリ、と歯軋りをしてから魔王が悔しげに呟く。 「……そうだ……っ。力では敵わぬから、俺たちの魔力を使って夢に引きずり込んで魔に堕とそうとしたんだ。二人まとめてな」 「ひとつも勇者に勝る所がない魔王と、現実では他の魔物よりも非力なインキュバス……勝って生き残るためには、この方法しかなかった」  インキュバスも小さな声で無念を吐き出してくる。  夢の中で二人の情事を見せつけられたが、今の様子と合わせて考えると恋人同士なのだとグリオスは察する。  人に害を与える存在。同情の余地はない。それでも彼らなりの深い結びつきに、他の魔物と同じように倒してしまうのは気が引けた。  どうすべきかとグリオスが悩んでいると、おもむろにエルジュが立ち上がって二人の元へ歩いていく。  そして起き上がれない彼らを見ろしながら腕を組み、エルジュ堂々と言い切った。 「オレさ、今すっごく幸せなんだ。あとさ、アンタらのおかげでグリオスがオレに心を寄せてくれたようなもんだからさ、感謝してるんだよー」 「そうか……なら、俺たちを一緒に殺ってくれないか? せめて最期の瞬間まで一緒にいたい」

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