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ひとりぼっち
ピピピピッ
午前7時。
高音の規則正しいアラーム音に強制的に起こされ、今日一日の準備をする。
顔を洗い、歯を磨き、いつもの学生服に着替える。もともと食が細いせいか、身体が疲れているのか、朝食はいつも食べずにいる。
そして今日も誰もいない部屋に向けて、"いってきます"と呟き、学校へと向かった。
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「あっ!ゆきだ〜!おはよっ!」
寝不足のせいか、机の上で突っ伏してウトウトしていたら不意に自分の名前を呼ばれ、だるそうに顔をあげるとそこにはいつも笑顔の光輝がいた。
「おはよ」
そっけない返事を返すと、光輝は昨日のドラマがどうだったとか、近所の猫に最近懐かれているとか、聞いてもいないようなことを永遠と話し続けていた。
その間の雪は、光輝の話を右から左へと聞き流し、適当に相槌を打っていたらホームルームが始まる鐘が鳴った。
光輝と出会って約一年。
一年生だった頃はお互いのクラスが離れていて、接点が全くなかったものの、同じクラスになった二年生の今となっては、学校で話す人は光輝だけだ。
もともと友達なんていらなかったし、ずっと一人でいいと思っていた学生生活だった。
二年生になってからと言うもの、光輝が毎日笑顔で挨拶や無駄話をしてきて、最初は無視を貫き通していたが、だんだん可哀想になって、気づけば適当に相槌を返していた。
光輝は雪とは違い、クラス全員と仲がいい。
そんな優しい性格の彼が、いつも一人でいる雪を気遣って話しかけてくるのかはわからないが、"そんな気遣いなら要らない、どうせ皆自分が一番大切と思ってるのに"と内心思っていた。
担任でもあり、科学教師でもある佐藤がホームルームを終えると、何故か雪の席に立ち寄り、
「高木雪、悪いが今日の授業が終わったら科学準備室に来てくれ」
と言うので、今日の放課後は予定あるのに…と思いつつも「はい」と返事をした。
それからの一日はいつもと変わらない。
授業を適当に聞き、休み時間になると一人でボーとしたり、机に突っ伏したり、たまに光輝が来て、一方的に話しかけられたり。
昼休みもたまに光輝と食べるが、ほとんどは一人で食べる。食べるといっても弁当はいつも持参しておらず、コンビニで買ったバームクーヘン1つと紅茶のみ。
満腹までとはいかないが、これだけで充分足りたし、いつものことなので何も気にならない。
そんないつもと何も変わらない時間が過ぎて、気づけば先生と約束していた放課後が待っていた。
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