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巨体男

佐藤side 「佐藤せんせー!こっちです!早くー!」 同じ学校の国語科教師である、三島陵と何故か繁華街に向かっている途中だった。 以前から三島に、"今日飲みに行きましょうよ!"と何度も誘われたが、何度も断っていると今後の教師人生に響くと思い、誘いに乗った。本当は学校以外では出来る限り関わりたくない。 佐藤自身、あまり自覚はしていないが顔も身体の容姿も整っていて、教師の中でダントツ一位でモテる。 180cm程の身長と、程よい筋肉。髪の毛は染めておらず緩やかにかかったカーブがより一層、佐藤の魅力を引き立てる。ハッキリとした顔立ちで目も鼻も口も全てが整っている。 「佐藤先生っ!今日はお付き合い頂いてありがとうございますっ!オレ嬉しいです!」 そう言う三島は熱血教師で有名だ。 俺より年上で、生徒想いで良い教師なのだろうが、今の俺にはむさ苦しい。 そんな三島と目的の居酒屋に向かう途中にふと目に止まった。 「え」 「んー?佐藤先生どうかしましたか?」 アレは間違いなく高木雪だ。私服な上、顔を伏せているから見えにくいものの、低身長であれだけ細身の男は俺は知らない。 ……というかよく見たら手繋いでる?いや、相手は巨体の大男だぞ。は?なんで? グルグルと頭の中が混乱して、数分後にずっと三島に自分の名前を呼ばれていることを知る。 「佐藤先生、大丈夫ですか?」 「あーすみません、大丈夫です。」 本当は大丈夫ではなかったが、これ以上考えても答えは出ず、三島と居酒屋へ向かった。 それからと言うもの、三島は"最近の生徒はやる気がない"だとか、"どうしたらもっと頑張ってくれるんだ"とか熱血ぶりを披露していたが、俺の頭の中は高木雪とあの巨体の大男のことばかりだった。

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