5 / 16
巨体男
佐藤side
「佐藤せんせー!こっちです!早くー!」
同じ学校の国語科教師である、三島陵と何故か繁華街に向かっている途中だった。
以前から三島に、"今日飲みに行きましょうよ!"と何度も誘われたが、何度も断っていると今後の教師人生に響くと思い、誘いに乗った。本当は学校以外では出来る限り関わりたくない。
佐藤自身、あまり自覚はしていないが顔も身体の容姿も整っていて、教師の中でダントツ一位でモテる。
180cm程の身長と、程よい筋肉。髪の毛は染めておらず緩やかにかかったカーブがより一層、佐藤の魅力を引き立てる。ハッキリとした顔立ちで目も鼻も口も全てが整っている。
「佐藤先生っ!今日はお付き合い頂いてありがとうございますっ!オレ嬉しいです!」
そう言う三島は熱血教師で有名だ。
俺より年上で、生徒想いで良い教師なのだろうが、今の俺にはむさ苦しい。
そんな三島と目的の居酒屋に向かう途中にふと目に止まった。
「え」
「んー?佐藤先生どうかしましたか?」
アレは間違いなく高木雪だ。私服な上、顔を伏せているから見えにくいものの、低身長であれだけ細身の男は俺は知らない。
……というかよく見たら手繋いでる?いや、相手は巨体の大男だぞ。は?なんで?
グルグルと頭の中が混乱して、数分後にずっと三島に自分の名前を呼ばれていることを知る。
「佐藤先生、大丈夫ですか?」
「あーすみません、大丈夫です。」
本当は大丈夫ではなかったが、これ以上考えても答えは出ず、三島と居酒屋へ向かった。
それからと言うもの、三島は"最近の生徒はやる気がない"だとか、"どうしたらもっと頑張ってくれるんだ"とか熱血ぶりを披露していたが、俺の頭の中は高木雪とあの巨体の大男のことばかりだった。
ともだちにシェアしよう!