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弱った身体

「……んんっ…」 重い瞼を開けると、真っ暗な天井が目に映った。怠い身体とは対象に、どこか冷静な頭を回転させる。 "あぁ意識が飛んだのか" そう思ったと同時に、あたり一面を見渡した。酷く崩されて、皺だらけのベッドシーツ。その上には雪自身の血が滲んでいる。 "そりゃああれだけ酷くやられたら、血も出るか"と冷静に思う。 「…あ、お金もらい忘れた」 もう一度部屋を確認したが、どこを見ても約束のお金が置いていなかった。久々に自分が哀れだと思った。 スマホで現在時刻を確認すると、午前5時を指していた。今日は平日だし、学校もある。一瞬休もうかとも思ったが、休んでも暇だし、巨大男を思い出すだけだったので、学校に行くことにする。 それよりも、男の体液と精液で汚れた身体を綺麗にしたかった。重たい腰を上げた瞬間お尻の穴から脚に向けて液体が溢れていく感覚に身を震わせた。 「…最悪だ」 汚れ切った身体を丁寧にシャワーで流して、少しの間頭から冷水を浴びる。こうすると頭もスッキリするような感覚になれるし、何よりも、この汚い身体と感情を洗い流したかった。 学校に行く前に自宅へ寄り、学校の身支度を済ませる。その頃には既に8時を指していたので急いで学校へ向かった。 _____________ ギリギリ学校に間に合った雪は、既にヘトヘトだった。巨大男のせいで体力もなく、身体も鉛のように重く、睡眠も充分に取れていない。 "やっぱり学校休めばよかったかな"なんて思ったりもしたが、学校に来た以上引き返すのは面倒なので、今日一日我慢しようと決めた。明日が休日でよかったと内心ため息をつく。 先生がホームルームを終え、次の授業の準備をする。幸いにも移動教室ではないため、少しゆっくりできると思い、机に突っ伏していたところ光輝に話しかけられた。 「ゆきー?なんか今日顔赤いけど大丈夫?」 「ん」 疲れ切っている身体は、顔を上げるのも今の雪にとっては困難で、光輝への問いかけに机に突っ伏したまま返す。 口では肯定したものの、本当は大丈夫じゃないと薄々感じていた。疲れた身体に追い討ちをかけるように朝ホテルで浴びた冷水がいけなかったのかもしれない。少し寒い。 「ゆきが大丈夫ならいいけど。何かあればいつでも言ってね!」 「ん、ありがと」 授業を知らせるチャイムと共に"頑張れ自分"と自身に鞭を打ち、重たい身体を上げた。 それからどうにか午前中の授業を受け、昼休みはご飯も食べずひたすら机の上で寝ていた。 今日の残りの授業は科学と体育と数学のみ。 昼休み明けの授業は科学なので、少し早めに科学室に移動すると、既に先生が授業の準備をしていた。 一瞬目があった先生に"そういえば二者面談の日程を聞いておかないと"と思い立ち上がった刹那、目の前がクラっとして意識が切れた。

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