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弱った身体
「…ん…」
ここどこだ。確か昼休み次が科学室で授業だったから科学室へ向かったんだ。
そこから佐藤先生と目があって何か話そうと…
「あ」
今になって自分が倒れたことに気付き、ここが保健室ということ知る。ここまで運んでくれたのは佐藤先生…?後で会ったらお礼を言おう。そう決めて起きあがろうとしたら、
「っゔぅっ」
胃の中から込み上げてくる液体に咄嗟に判断できず、近くにあったティッシュの中に嘔吐してしまった。
物音が聞こえたのか、仕切りのカーテンを開けた保健医の神田咲が心配そうに雪を見た。
「高木君大丈夫?あら、少し吐いちゃったのね、水持ってくるから待っててね」
そう言うと神田先生は次に紙コップに入った水と体温計を持ってきた。
冷たい水が喉を通って気持ちがいい。充分に喉が潤った頃、次に体温計を渡されて、"お熱測りましょうね"と優しい笑顔で言われ、体温計を脇に挟むと少ししてピピッと電子音が鳴った。
「38.9度…熱が高いみたいだけど、病院いける?親御さんに連絡しよっか?」
「…」
雪がどうしようと悩んでいた時、タイミング良く保健室のドアが開き、そこには佐藤先生が立っていた。
「あぁ、佐藤先生お疲れ様です」
「神田先生、高木の看病ありがとうございました。それでこいつの様子はどうですか?」
「38.9度の熱があって、病院に行くか親御さんに連絡しようかと迷っていたところなんです」
「……なら、僕がこいつの自宅まで届けます。さっき高木の家に電話したのですが、誰にも繋がらなくて。それに多分こいつ、弱りすぎて歩けないと思うので」
「ふふっ、まぁ佐藤先生は高木君の担任ですしお任せします。」
「ありがとうございます。」
雪が入る隙間も与えないまま、スラスラと物事が進んでいく。というか佐藤先生、家に電話かけたって言ってたけど、家に誰もいないこと知ってるのに。
先生の言葉の意味を理解しようとしていると、横になっていた雪の顔に先生の顔が近ずいてきて"ついさっきホームルーム終わったところだから、少し待ってろ"と告げた先生は保健室から出ていった。
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