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先生の家

先生に待ってろと言われて数分が経った頃、保健室のドアが2回ノックされて、ドアが開かれた。 未だにフラフラしている雪に、"送る"と言い立ち上がらせたのはいいものの、足元がふらつき咄嗟に佐藤先生が支える。 "はぁー"と大きなため息を吐かれたのも束の間、雪の身体を倒れた時と同様に横に抱きかかえて、そのまま保健室を後に佐藤先生の車の助手席へと降ろされた。 雪は意識こそはっきりしないが、科学室から運んでくれたのを思い出してお礼を言う。 「…あの、保健室まで運んでくれてありがとうございました」 「ん、どういたしまして」 「家も近いし、歩いて帰れます。」 雪はなんとなくこれ以上佐藤先生に頼ってはいけない気がして、本当は歩ける気などしないのに嘘をつく。 「お前バカなの?こんなフラフラな身体で歩けると思ってんの?」 ……バレた 「…ごめんなさい、でもこれ以上は迷惑かけちゃうので、せめて家の最寄り駅で大丈夫です。」 「お前は俺にイライラさせたいわけ?少し黙って寝てろ」 「…ごめんなさい」 これ以上イライラさせてはまずいと思い、雪は黙り込む。外を眺めてながらボーっとしていると、自宅への道ではないことに気がつき、 「先生、どこに向かってるの?」 と聞くと、何事もないように"俺の家"と言われた。 「…ん?え?」 今俺の家って言った?佐藤先生の家?は?なんで?頭の中がハテナマークだった雪に、 「こんな高熱の身体一人で治せると思ってんのかバカ」 今までだってうまく一人で生活できていたし、熱が出た時だって一人で大丈夫だったのに。 けどここで言い返すのもめんどくさいし、語尾のバカが気に食わなかったので、何も言い返さなかった。 外の景色を眺めていたら、車が止められて佐藤先生の家に着く。そこは綺麗なマンションで駐車を一発で決めた先生に内心、"これが大人の余裕か"と思った。 "部屋まで運ぶ"と先生に言われたが、さすがに学校の外だし、いくらマンションといっても他人の目が気になるので、"自分で歩きます"とやんわり断った。 フラフラしながらも先生の部屋について"おじゃまします"と言ったら、"どうぞ"と言われて先生の後を追う。 先生らしいモノクロで統一された部屋のどこにいていいか分からず突っ立っていると、"お前は病人なんだから休んでろ"と言われて、座り心地が良さそうなソファーに座らされた。

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