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先生の家

「お前熱測れ」 差し出された体温計と先生の顔を交互に見つめていると、"とうとう日本語が理解できなくなったか"と冗談混じりに笑う。 ムッとした雪は先生から体温計をもらい、脇に挟む。"そういえば先生ってモテるんだっけ。今までは気にしてなかったけど、よく見たら確かにカッコいいと思う" ピピッ 体温計の機械音が鳴り、"僕今何考えてたんだろ"とハッと我に帰る。"ん"と差し出された手に体温計を渡す。 「39度か。お前よく熱出すの?」 「月に1回あるかないかです…」 「その時はどうしてる」 「…別にどうもしませんけど…。」 「は?ッチ、お前平熱は?」 「35度前後です」 さっきの舌打ちは聞こえなかったことにしようかと思ったが、やはり自分が居ては迷惑だよなと思い先生になんとなく"ごめんなさい"と何の謝罪かわからない言葉を告げる。 「お前今日何食べた?」 と聞かれて、そういえばあの巨体の男から逃げ出して朝は時間がなかったし、お昼は寝ていたので今まで食事をとっていないことに気ずく。 「あ…あのー。えーっとー」 ここで何も食べていないと言ったら、盛大な舌打ちが聞こえてきそうなので言葉を濁していたが、先生が先にそれを悟ったらしく、今度は舌打ちではなくて、大きなため息を吐かれた。 さっきから先生と話していて頭を使っているせいか、熱が上がっているせいなのかわからないが、そろそろこの熱を持った身体が限界を迎えそうだ。だるい、鉛のように重い、頭が痛い。 刹那、何も言わない先生に身体を抱えられ寝室のベットへと降ろされる。頭の中で、さすがにベットは申し訳ないと思いつつも、重たい瞼が徐々に閉じた。

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