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先生の家

次に雪の目が覚めたのはそれから2時間後の午後9時だった。 ぼんやりと瞼を上げると、見知らぬ天井が目にうつる。"そういえば先生の家にきてるんだった"と鈍い脳味噌で判断し、辺りを見渡す。 家主である先生を探すため、寝室のドアを開けて光が刺すリビングにトボトボ向かう。 雪に気付いた先生に“起きたのか"と言われ、ソファーに座るように促さられる。 「熱測れ、体調は?」 と差し出された体温計を脇に挟み、"良くなりました"と咄嗟に相槌をしたのはいいものの、ピピッという電子音が奏でられた小さな液晶を見ると、そこには38.5度の数字を指し示していた。 「この数字のどこが"よくなりました"だ」 「…ごめんなさい」 「お前は黙って飯食って寝てろ」 と言われるが矢先、雑炊を作ると言い出した先生に迷惑がかかるので断りの言葉を言おうとしたら“お前に拒否権はねぇよ"とあっさり言われたので、雪は黙って外を眺めた。 先生に"食え"と言われて出された雑炊を食べると、何年かぶりの人の手料理を食べたせいか、まだ熱で身体が辛いのか、だんだんと心が暖かくなって思わず涙腺が緩む。

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