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第32話 那津

圧迫された下半身がドクドクいうから、 そのまま横を向いて、膝を身体に寄せると小さくする。 ーー一緒に住んじゃって大丈夫なの?ーー さっき、久しぶりに会ったカズに言われた、そのセリフが突然きこえる。 オレのことをよく知るその親友には一応、 へーきだよと笑いながら言ってみたけれど。 ーーもうダメそうだねーー そんなこと言うオレに、 カズは呆れたって顔して笑って呆れたってときの声でそう言った。 「・・・だって・・しょうがないじゃん」 だって、相手はともちゃんなんだよ?・・・と。 自分でも理屈になっているようないないような、 よくわからないことを独りでつぶやいて、ため息をついた。 うずくまったまま、股の間に両腕をはさんで、 両手を広げてその割目に指先が当たるようにして、 腕全体をちょっとだけ動かした。 「・・・ふぅ」 まったくもって、物足りない緩い刺激がソコから全体に広がれば、 自分がずいぶんソコを触られていないことをより知る羽目になって、 もっとモヤモヤが広がってしまう。 「ともちゃん・・・」 勝手に口からその名前が飛び出れば、 身体はよりアツくなった気がしてソファに顔をうずめた。 オレはしばらく呼吸を荒くして、 そのソファの上で腰を振ってみる。 布の擦れる音と自分の熱を帯びた呼吸が耳につく。 自分の腕がその膨らみに当たって、 自分の指先がその入り口を擦っても、 ジーパンの上だし、おまけにそんな生易しい刺激なんかじゃ まったくもって満たされるはずもなくて、 気持ちよくなりたい気持ちはどんどん大きくなる一方だった。 「はぁ・・・っ・・・」 目を閉じるその瞼の裏には、 オートマチックにともちゃんが浮かぶ。 あの顔と あの瞳と あの声と そしてあの・・指先。 ともちゃんはなにか困ったときや悩むとき、 あの細くて長い指先を自分の唇に当てる。 紅い、色っぽいカタチをしたキレイな唇を、 あの指先でゆっくり撫でるのだ。 「ふぁ・・・」 頭の中のともちゃんが、なぜか裸で、そして真っすぐオレを見つめると、 ソコがドクドクする。 ・・・もし。ともちゃんがオレに触ってくれるとしたら・・・ 男のオレに、触って・・・繋がってくれるとしたなら。 いったいどんな風に触って・・・どんなふうに腰を揺らすんだろう。 その最中にあの声でオレは自分の名前を呼ばれたら ・・・オレはいったい・・・どうなっちゃうかな・・・ なんて。 「はぁ・・・やっば・・・」 元カレと別れてからそりゃあもちろん、 ともちゃんに隠れてひとりでヌいたりはするけれど。 ソコは自分ではなかなかうまく触れないのだ。 指なんかじゃオクまではまったく届かないし、 そんなんじゃとても・・・代わりにならない。 「はぁ・・・っ・・」 下半身をくねらせながら、息が漏れる。 オレはずっと、 好きじゃない男が相手でもそういうコトをしてきたタイプの人間だ。 寝泊りに困れば相手が男ならわりと誰でも、 知ってる相手でも知らない誰かの前でも、 裸になって股を広げてきている。 実際、身体はちゃんと気持ちがいいし、 結果論かもしれないけど、そこまでひどくされた経験もない。 ともちゃんに初めて会った夜だって、本当はそのつもりでいたんだし。 でも・・・いまは。 ーー那津ーー 男が好きなことを知っていて そういうオレに普通に接して オレの身体を心配して エプロンなんて買ってくれて こんなオレに居場所を作ってくれたともちゃん・・・ オレはきっと、 本当はもうすいぶんと前から、 持ったらいけない特別な気持ちを持ち始めちゃっていて・・・ ーーもうダメそうだねーー カズの声が聴こえる。 確かに。きっともうダメなのだ・・・ ひとり悶々としながら止められなくて腰を振る。 ドクドクっと脈打つその膨らみと、 ヒクヒク動くオクの入り口が。 ・・・どうしよう・・・ 認識してしまった気持ちはきっともう無くなることはない。 「ともちゃ・・・」 無意識に出てきちゃうその名前に気づいていながら、 オレはしばらくの間、腰を振ることを止めることが出来なかった。

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