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第72話 那津

女の子の・・・女性の・・・裸を。 オレはこの目で直に見たことは一度だってない。 触ったことなんてもちろんない。 正直、触ってみたいとは思ってた。 だって興味はある。 それはえっちな意味じゃなくって、どんなものかを知りたかったから。 オレにないもの。 絶対に手に入らない、欲しかったもの。 ネットや動画で観る女の子の裸はとても・・・柔らかそうで。 繊細で しっとりとして そして・・・とてもキレイだ・・と思う。 自分とは違う。 どうがんばってもあんな風にはなれない。 あんなものは持ってない。 ともちゃんがそういうつもりはなくても、 自分はきっといままで付き合った おそらくハイスペックであったであろうモトカノたちと、 どうしたって比べられてしまうだろう。 膨らみのない自分のカラダに、 ともちゃんは本当はどう思うだろうか。 裸になることなんて そんなに大したことじゃないはずなのに、 ともちゃんに見られるのだけは少し違うのは、 オレがこのヒトだけは こんな自分でも気に入られたいって思ってるからだ。 せめて嫌われたくないって想いがグルグルするのだ。 「んぁっ・・」 ともちゃんのアツい手のひらが胸の突起を擦ると自然と声は溢れて、 反射的に唇を噛んで手の甲で覆った。 自分の声なんて気にしたこともない。 でもきっと・・・ 声だって違う・・・ 「気持ちがいいならちゃんと声出せって言ってる」 すると、そういうオレの気持ちを知ってか知らずか、 ともちゃんはオレの手首辺りを持って 口元辺りを覆ってた手のひらを持ち上げると、 そのまま手の甲にキスをする。 それはまるで、王子様がお姫様にするみたいなキス。 そんな風に勝手に感じちゃうそんなヤツ。 「顔も隠すなよ」 強いヒカリが宿る瞳はオレに有無を言わせない力がある。 このヒトに従いたくなる、そういう見えないモノがある。 「どんな顔すんのか見たいって言っただろ」 でも正直、ごまかすつもりはなくても、 なかなか不安が消えない。 ・・・ともちゃん・・ちゃんと勃ってんのかな・・・とか。 ここまで来てダメだったら・・・なんてコト。 情けないけど怖すぎるのだ。 「ってか・・ともちゃんも脱いでよ。俺ばっかイヤだ」 自分がもうどうにもならないくらい反応しちゃってることを、 ともちゃんにはバレている。 でもともちゃんはどうだろう。 オレは上半身を起こすとともちゃんのパジャマのズボンに手を伸ばす。 もし身体が反応してなくっても、先に触って勃たせてしてしまえば・・・ きっとなし崩し的にどうにかなるだろうから。 その方が・・・少しは気が楽だ。 裸のオレを見てキレイだって言ってくれたことは嬉しい。 きっと本当に思ってくれた。 ともちゃんはそういうヒトだし、そういう目をしてた。 だから嬉しかった。 でも・・・ だから抱き合えるのか・・・オレに反応できるのか・・は、わからない。 ともちゃんは・・・本当にオレにちゃんと欲情できるのだろうか。 無意識にゴクリと唾を飲むと、 伸ばした手がともちゃんのパジャマのズボンを掴む。 ふぅっと息を吐くと ゆったりしたパジャマの上からソコを見つめた。 ともちゃんがいま、どんなカオをしてるかはわからない。 ただオレのすることをそのまま抵抗はしないでいる。 いきなり現実を直視したくないせいで視線が揺れる。 そのまま見ないようにしてパジャマを下に引っぱって、 反射的に目を閉じた。 そこで躊躇せず下着に手をかけると・・・

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