「・・・勃ってる」 はぁっとホッとしてそして・・・ドキッとした。 思わず息を飲む。 視線がそこから動かせない。 だってそれはずっと、毎晩のように想像してた ・・・ってか、なんなら想像よりもずっと立派な・・・ ともちゃん。 お風呂で何度も・・・勝手に何度も何度も。 恋人って関係になる前から独り、ずっと想い描いてた・・・ 立派なともちゃんがソコにあった。 ゴクリ・・・と唾を飲む。 唇を半開きにして、全身が一気にアツくなってドクドクが回る。 那津くんの那津くんがピクピク反応してることに気づいても、 オレは視線がソコから外せない。 だってちゃんと反応してくれていた。 それは胸の谷間のない、ちんこが勃ってる男のオレを見て・・・ 「いい加減、安心した？」 声をかけられてハッとして、思わずともちゃんを見た。 ともちゃんってのはともちゃんって意味。 勃ってるほうじゃない方のともちゃんだ。 目が合うともちゃんは少し呆れて、でも優しい目をしてる。 それはもうオレの気持ちをぜんぶ知ってるって顔。 そんな風に感じる顔。 そうして、それでもこういうオレを好きだって・・・ そう言ってくれてる顔に見えた。 「好きなヤツには勃つだろう」 ・・・好き 「お前が特別だってわかった？」 ・・・特別 それはなんて嬉しい言葉だろう。 「ともちゃんっっ」 嬉しくて、思わずともちゃんに抱き着いた。 「嬉しい・・っともちゃん」 ああもうなんてみっともない。 でも気持ちを押さえておくのなんてムリだった。 身体はある意味、正直だから。 その反応は、ともちゃんの本当の気持ちの表れだから。 「、、ああ。俺も嬉しいよ」 ため息交じりできっと、微笑みながらともちゃんはそう言って、 抱き着いたオレをぎゅうっとし返してくれる。 裸で抱き合ってこんな気持ちになったのは初めてで、 なんだか泣きそうになった。 ああ・・ヤバい。 いま。 たぶんオレ・・・いままで生きてきた中で 一番幸せかもしんないって思った。 好きになった相手に好きだって言われること。 そんな相手とこうやって 隔てるものが一切ない状態で、裸で抱き合っているってこと。 「おまえがしてほしいことぜんぶ教えろ」 「・・え？」 「ぜんぶしてやるから」 独り勝手に感動してるオレにおかまいなしで、 ともちゃんはまた、なんだかすごいことを言い出した。 「なに言って・・・そんなこと・・ オレがなに言いだすかもわかんないくせに」 「なに？そんなすんごいこと言い出すつもりなの？」 ニヤリと笑うそのカオ。 オレの・・・恋人が。 まるで意地悪そうに、けれどオレを好きだって顔してキスをする。 全身がなんだか恥ずかしさと期待で膨らんで、 オレはもう、そのキスを受け止めることに精一杯だ。 「那津はどうされんのが好きなの？」 「・・そんなこと」 こんな風に会話をしながらシたことがない。 ただお互い裸になって、ときには服も脱がずにソコだけ晒して、 つながるだけ・・・なんてことだってたくさんあった。 ともちゃんはまたキスをして、そうしてオレを真っすぐに見る。 真っすぐに見てそうして、 オレにもともちゃんを真っすぐに見るように言う。 言わないけど・・・言ってるように思う。 ・・・だから。 「・・・ともちゃんのしたいことしてよ」 「なに？」 背中に腕を回して、ともちゃんにくっつく。 「オレはともちゃんのしたいことがされたい」 こんなことを言ったのは初めてだ。 おまけにともちゃんがどこか満足そうに笑うから、 オレはやっぱりちょっと恥ずかしい。 「そんなこと言っていいのかよ」 「ともちゃんになら・・・なにされてもいいよ」 突然出てきた言葉に自分がびっくりする。 でもこれは本心だ。 オレはともちゃんに・・・ともちゃんの好きにされたいのだ。