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第93話 那津
ーーー・・・
休日の朝。
この家の寝室では、相も変わらず裸のオレが喘いでる。
「ぁあっあ、あ、っ・・ぁあ・・はっ・・・・・」
朝っぱらからベ ッドに膝立ちをして壁に手をつく格好で、
後ろからともちゃんを受け入れる。
受け入れるといっても、
壁に追いやられたカラダは身動きが取れなくて、
もうそれしか出来ることがなくてそうしてる・・・のだけれど。
昨晩だってさんざんヤった。
今日が互いに休日だとわかっているその前の晩のともちゃんは、
いまもまったくもって容赦ない。
昨日だって「もうムリだ」って何度言ったかわからない。
半分泣きながら「止まって」って言ってるオレにニヤリとすると、
ともちゃんはさらにオクにクる。
そうして、そんなともちゃんを上回る厄介さで、
自分のカラダはされるすべてを許してしまう。
限界のはずの咥えるソコは
なんとも気持ちよさそうにイヤらしく、
ぐちゅぐちゅと音を立ててともちゃんに好き勝手され続けることを
悦んで許してしまう。
そうして、膨らむ前は触られてもいないくせして結局、
白く濁る液体をまき散らしてしまうのだ。
ともちゃんとはじめてセックスをして、
あれからもうずいぶんたっている。
あまりにも想定外だったともちゃんとのはじめての一晩は、
そのたった数時間でオレをおかしくしてしまう、
十分な破壊力を持っていた。
ともちゃんに出会うまで、
いままでたくさんの男がオレの肌を触り、
オレのナカに挿いっては消えていって、
そのどれもが大して変わり映えはしなかった。
でもそのときだけではあっても人肌はちゃんとあったかかったし、
幸いそんなに酷いことをされたこともない。
抱いてもらうことにそれなりには
安らぎみたいなものもちゃんと感じていたし、
男同士のセックスなんてそんなモノだろうと思っていた。
そうして、
そういう過去のセックスと、さほど変わらないだろうと思っていた、
なんなら自分がしっかりリードしようと思っていた
ともちゃんとのセックスは、
それなりに回数こなしてきたオレが
それまでに一度も知らないセックスだった。
パンツを脱ぐことすら躊躇しながらはじまったそのすべては、
なんというかとても動物的で生々しいくせに、
どこか鮮明な人間らしさみたいなものがあった。
上手く言えないけどとにかくそれは
ただソコで繋がったってだけでなく、見えない心の交わりだった。
股を開いて受け入れるだけじゃ足りない、
互いの見えない部分を見せあってさらけ出して、
ぜんぶを出し切らなきゃ味わえなかったナニカがあって・・・
きっとオレははじめて、
ともちゃんによってそういうナニカを
ズルリとひきだされてしまったのだった。
本性をさらけ出すことしかできなくなったオレは恐怖と共に、
自分すらも知らなかった見えない快楽の沼の底を
この男にすべて、それはもうことごとく、
見せつけるしかできなかったのだろう。
きっとだから、ゆっくり進みたいと言ったはずなのに、
あれからもともちゃんはなんにも変わらず、
オレにキスをして、オレに触りつづけたのだった。
「はぁっ・・ぁあっ、あ、あっ・・・も・・はげ・・し・・っ・・」
ともちゃんと壁とに挟まれた身体は、
どこにも逃げ場がなくていつものごとく、
オレはただ声をあげるだけしかできない。
「なに?那津」
「んぁあっ!・・」
息が耳にかかるくらい近くでその低く、艶のある声がするだけで、
全身がビクついておかしくなりそうだ。
「もっ・・は げし・・っ・から・・」
「ゆっくりがいいのか?」
「んぅあっ・・っ・・ぁあ・・・」
するとともちゃんは、オクまで突っ込んでたソレを
もったいつけるようにギリギリまで抜いて、
ご丁寧にも入り口からゆっくりと、
ナカを擦るようにしてオク深くまでを容赦なく突き上げる。
「んゃあっ・・はっ・・っぁああ・・・んっ」
それはなんていうか相変わらず、
オレのその場所に、そのナカに、
ともちゃんのカタチを教え込まれてるみたいな感覚。
もうすでに知っている、そのカタチをあえてまた教え込まれて、
それはもう逃げられないっていう感覚になるとまた、脚が震えた。
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