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ローブはえんじ色をしていて、持つとかなり重量があった。本は辞書くらいの厚さがあり、中は白紙だった。
訓練場は体育館くらいの広さがあり、四隅にある
立派な柱が建物を支えているようだった。
「ようこそ、訓練場へ」
長い髪を一本に結いた長身の男性が現れた。
「私はこの訓練場を管理する訓練士のソーンです。イヴからあなたの話は聞いています」
そう言うと、僕の手を取って本の上に置いた。
「転生者はもともと能力が高いと言われています。本があなたの力を教えてくれます」
ソーンの手が離れ、本が光り始めた。
「ちょ、ちょっと!どうすれば」
「そのまま手を離さずじっとしてください」
しばらくして光が消え、表紙が5色に変化した。
「やはり、桁違いですね···」
ソーンは驚きを隠せないようだった。
「どういうことですか?」
「普通の魔道士だと多くて3つの属性しか会得できませんが、あなたは5つの属性全て使えるようです」
表紙を見てみると、赤色が火、青色が水、緑色が風、茶色が土、黄色が雷を表していた。さっきまで
白紙だったはずのページが文字で埋まっている。
「属性には相性があります。火には水、水には雷というように、相手の属性を見て攻撃することで威力を高めることができます」
「···なるほど」
「言葉で説明するより、実際に戦ってみましょう」
ソーンが手を叩くと、どこからともなく蜘蛛のような生き物が3体現れた。
「まずは属性を確認するために、本に手をかざしてサーチと唱えてください」
言われた通りにすると、生き物の上に水を表す青色が見えた。
「水には雷が効果的です。雷のページを見て呪文を唱えてみましょう。呪文の隣にある数字は攻撃可能な敵の数です」
3と書かれた呪文を見つけて唱えてみた。
「サンダーバード!」
鳥の形をした雷光が一直線に飛んでいき、生き物は息絶えた。なんとも言えない爽快感があった。
「よくできましたね。属性を組み合わせることで、さらに強力な魔法を使うことができます。」
「例えば?」
「それはご自分で探してみてください。それから、
魔力は無限にあるわけではありませんので、常に
こちらの腕輪を確認してください」
腕輪を渡された。腕時計くらいの大きさで、真ん中に緑色の石がはめ込まれていた。
「魔力が少なくなると、色が黒く変化します。魔力が尽きると気絶してしまうので気をつけて下さい」
そう言うとソーンは大きな扉を開けた。
扉の外には広大な草原が広がっていた。
「これからあなたの冒険が始まります。幸運を」
振り返ると訓練場は消えていた。
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