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道中−1−
べネールを出て、海とは反対の方向に進んだ。
「ルケーノまではどれくらいですか?」
「少なくとも3日はかかるな。魔物にいつ襲われるか分からないから戦う準備はしておけ」
「わかりました」
クリスが先頭を歩き、僕が最後尾だった。
マイルはリュックを揺らしながら歩いていた。
「リュック重くないの?」
「この荷物は治癒士の命なので重くないです!」
リュックはかなり年季が入っていた。
「ずいぶん使い込んでるね」
「お母さんの形見なんです。3年前に亡くなって···。
何もできなかったことが悔しくて治癒士になろうって決めたんです」
「そっか。きっとマイルのこと誇りに思ってるよ」
「そうだったら嬉しいです!」
お父さんが作った剣を持つクリスとお母さんが使ってたリュックを持つマイル。2人の間に不思議な繋がりを感じた。
休憩を挟みながら舗装された道を歩くこと約6時間、
クリスが足を止めた。
「ここで休もう」
透き通った水が流れる川の近くに荷物を置いた。
「夕飯はどうしますか?」
「今から捕る」
「え?」
そう言うとクリスは上半身裸になって川に入った。
鍛え上げられた体が夕日に照らされて、思わず唾を飲み込んだ。
「何をジロジロ見てる」
クリスはあっという間に魚を捕まえて戻ってきた。
「いや、何でもないです」
「火は頼んだ」
見たことない魚だったが、食べると身がふわふわでかなり美味しかった。
「ケイが転生する前の話が聞きたいです!」
寝る準備をしていると、キラキラした目でマイルが聞いてきた。
「そんなに面白い話じゃないけど···」
「クリスも聞きたいはずです!」
巻き込まれたクリスは苦笑いしながら頷いた。話すかどうか迷ったが、一緒に旅をする仲間として話しておくべきだと思った。
「その男、最低ですね!」
一通り話し終わると、マイルが激怒していた。
「まぁ、気付かなかった僕も悪いし···」
「俺だったら迷わず斬ってるな」
真面目な顔で言うクリスが面白くて、マイルと目を合わせて笑った。
「男同士なのに引かないんですか?」
「質問の意味が分からん。人を好きになるのに性別は関係ないだろ」
「その通りです!」
「···そうだね」
2人に話したことで気持ちが少し軽くなっていた。
「そろそろ寝るぞ」
「おやすみなさい」
風の壁で周りを囲んで横になった。
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