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翌朝、目が覚めると分厚い雲が空を覆っていた。
「雨が降る前に急ごう」
荷物を急いでまとめてクリスを先頭に歩き出すと、こちらに近づく人影が見えた。服は破けていて、気が動転しているようだった。
「どうしたんですか?」
マイルが歩み寄った。
「た、助けてください!息子が!息子が···」
「息子さんがどうしたんですか?」
「魔物に連れていかれました···」
男性は泣きながらその場に座り込んだ。
「どんな魔物だった?」
クリスが跪いて聞いた。
「···大きなトカゲみたいな形でした」
「まずいな。早く助けないと餌になるぞ」
「そ、そんな···」
クリスの言葉を聞いて、男性の顔が青ざめた。
「安心しろ、俺たちが助ける」
「あ、ありがとうございます!」
「場所は?」
「この先にある洞窟です」
「分かった。案内してくれるか?」
「は、はい!」
男性の後についていくと、洞窟の入り口が見えた。
「俺たちから離れるなよ」
そう言うとクリスは剣を抜いた。
「···分かりました」
洞窟内は薄暗く、男性を囲むように慎重に進んだ。
しばらくすると外の光が入る広い空間に出た。
「息子です!」
男性が指差した方を見ると、男の子が倒れていた。
駆け出そうとする男性をクリスが止めた。
「離してください!助けないと!」
「下がれ!」
次の瞬間、どこからともなく魔物が現れた。トカゲの形はしていたが、背中に鋭い棘が生えていた。
「ケイ、行くぞ」
「はい」
魔物と距離を取って、属性を確認した。
「アクアショット!」
水の弾が魔物めがけて飛んでいったが避けられた。
魔物は体を丸めるとものすごいスピードで転がってきた。
「危ない!」
マイルの声に体が動いた。魔物が通った後には綺麗な穴が開いていて、もし避けられなかったらと思うとゾッとした。
「大丈夫か?」
クリスが隣に並んだ。
「大丈夫です」
「次はしくじるなよ」
そう言うと、向かってくる魔物を剣で受け止めた。
激しく回転する棘と剣がぶつかって火花が散った。
「今だ!」
「アクアショット!」
当たる寸前にクリスがしゃがんで、魔物の体を水弾が貫いた。回転が止まりクリスがとどめを刺した。
「まだ終わりじゃない」
「え?」
「ここはこいつらの巣だ」
クリスの言う通り、次から次へと魔物が現れて取り囲まれた。
「どうしますか?」
「一匹残らず倒すだけだ」
「そう言うと思ってました」
クリスはふっと笑った。
「行けるか?」
「行けます」
「2人とも息ぴったりですね!」
「そんなことない!」
クリスと声が重なった。
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