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大会−1−

昨日の魔術士が気になって、あまり眠れないまま朝を迎えた。青い布を腕に巻いて闘技場に向かった。 他グループの試合はすでに始まっていて、闘技場の外にまで観客の熱気が伝わってきた。 「Hグループの方はこちらに!」 声の方に進むと、青い布を巻いた人たちが集まっていた。グループごとに色分けされてるようだ。 「マイルは観客席から応援します!」 「変なやつに絡まれるなよ」 クリスがマイルの頭を軽く叩いた。 「心配無用です!頑張ってください!」 「ありがとう」 マイルと別れて、クリスと待機室に入った。 「あれ?クリスよね?」 2本の短剣を腰に差した女性がクリスに近づいた。 「ジュリアよ。覚えてる?」 「もちろんだ」 「あれ以来よね?思ったより元気そうでよかった」 「そっちもな」 親しげに話す2人を見て、何とも言えないもやっとした気持ちになった。 「こちらは?」 「魔術士のケイだ。一緒に旅をしている」 「初めまして、ケイです」 「ジュリアよ。よろしくね」 握手をしたときの力が強かった。 「クリスが誰かと一緒に旅するなんて初めて見た」 「そうなんですか?」 「ただの成り行きだ」 「あらそう。まああなたを信頼してることは間違いなさそうね」 「そうだといいんですけど」 クリスを見ると目を反らした。 「対戦することになっても手は抜かないから」 「当たり前だ」 「そう言うと思った。お互い頑張りましょ」 そう言うとジュリアはいなくなった。 「ずいぶん仲良しなんですね」 「昔からの知り合いってだけだ」 「ふーん。もしかして···恋人だったとか?」 「詮索はそこまでだ。作戦を立てるぞ」 「ケチ」 クリスは全く気にしない素振りだった。 前のグループの対戦でどよめきが起こった。何事かと思いステージを見ると、あの魔術士が1人で対戦 相手に圧勝していた。 「あいつが転生者か。絶対に仇を討ってやる」 クリスは拳を強く握りしめた。少しでも怯んだら、 負けてしまうと思って僕も覚悟を決めた。 「これより、Hグループの試合を始めます!」 アナウンスが流れると、歓声が響き渡った。ルールはシンプルで、相手を倒すまたはステージから出した方が勝ちというものだった。 グループで最初の試合だったので、クリスと一緒にステージに足を踏み入れた。反対側から対戦相手も登場し真ん中で向き合った。相手は2人とも男の戦士で1人は2m近い身長があり、もう1人は小柄だった。 クリスと目を合わせて戦闘態勢に入った。 開始を告げる音が鳴り、試合が始まった。

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