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混乱−1−

「ケイ、痛いところはないですか?」 「うん、今のところ大丈夫」 「傷が深いところは治癒術で治したので、明日には動けるはずです」 「マイルがいてくれてよかった」 「任せてください!」 そう言うと、飲み薬を調合しに部屋を出た。 「ケイまで失ったら···どうしようかと思った」 クリスはため息をついてまた手を握った。 「こんなに弱気なクリスが見れるなら、怪我してよかったかもしれないですね」 冗談ぽく言ったつもりだったが、クリスの表情は 変わらなかった。 「俺はもう大事な人を失いたくない」 「今、大事な人って言いました···?」 聞き間違いかと思って確認した。 「聞こえなかったのか?ケイは俺の大事な人だ」 「そ、それって···僕のこと好きなんですか?」 「そういうことになるな。俺を庇ってくれたとき、はっきりと分かった」 目を見てそう言われて、急に恥ずかしくなった。 「···見ないでください」 「好きな人を見るのは当然だろ」 「そうですけど···だめです!」 枕で顔を隠したが、すぐ取られた。 「ケイも俺のこと好きか?」 「···好きです」 「聞こえない」 「好きですよ!」 「嬉しい」 そう言って、優しく唇を塞いだ。 「飲み薬できましたよ!」 マイルの声が聞こえて唇が離れた。 「今、2人で何してたんですか?」 「いや、別に···」 「何でもないよ」 明らかに2人とも挙動不審だった。 「子どもだからって隠さなくてもいいですよ」 誰よりも大人な対応に思わず笑ってしまった。 「これ飲んでください。後はごゆっくり」 粉薬と水を渡して、マイルはいなくなった。 「マイルが一番大人だな」 「そうですね」 粉薬を口に含んで、水を飲もうとするとクリスが 口移しで飲ませてくれた。 「いつもと違いすぎて頭がついていかないです」 「俺も考えるより先に体が動いてて分からない」 そう言って、また唇を重ねた。 「眠いか?」 「はい」 「じゃあそろそろ行くか」 立ち上がろうとするクリスの腕を掴んだ。 「あの···」 「ん?」 「朝まで一緒にいてくれませんか?」 「分かった」 そう言うと、横になって腕枕をしてくれた。 「おやすみ、ケイ」 「おやすみなさい」 伝わる体温に体の力が抜けていき、眠りについた。

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