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ボルと一緒に外に出ると、魔物たちが消えていた。
「クリス!ケイ!」
こちらに向かってくるマイルとジュリアが見えた。
「無事でよかった」
「ジュリアも相当強いからな」
ジュリアは傷一つついていなかった。
「みたいですね」
マイルたちと合流すると、ボルが頭を下げた。
「力を貸してくれてありがとう」
「石は無事なのか?」
クリスの言葉にボルは首を横に振った。
「遅かったか···」
クリスが悔しそうに拳を握った。
「ただでやられるわけないじゃん。やつの居場所は分かってるよ」
ボルはそう言うと、1枚の地図を取り出した。
魔術士と思われる黒い点が動いていた。
「俺は人や物を探す探知魔法が得意なんだ」
ボルの説明によると、一度触れた人や物は20km圏内まで場所を特定できるらしい。
「その魔法教えてくれませんか?」
「そう言うと思ったよ。本、貸して」
本を渡すと、ボルが手をかざした。
「捜索範囲を広げると魔力の消費が激しいから使うときは気をつけて」
そう言って、本を返してくれた。
「地図で見た限りだと、やつはまだ近くにいるな」
「ピゴーロに先回りできるといいんですけど」
「道が1つしかないですね」
3人で頭を抱えていると、ボルがついてきて、と言って歩き出した。
「ピゴーロに繫がる地下道があるんだ」
たどり着いたのは闘技場の地下だった。
「今はほとんど使われてないけどね」
確かに舗装はされていたが、所々剥がれていた。
「ピゴーロまでどれくらいかかる?」
「この道だと2日くらいかな」
「普通に行くと、最低でも4日はかかるから先回り
できるな」
「人が通らなくなって魔物の住処になってるから
気をつけた方がいいよ」
「分かった。そっちもな」
「結界はもう張ったから、しばらくは大丈夫」
「それじゃ俺たちは先に行く」
「幸運を」
ボルと別れて地下道を進み始めた。
しばらく進むと、後ろから足音が聞こえた。
魔物かと思って振り向いたらジュリアだった。
「ちょっと置いてかないでよね!」
「誘った覚えはないが···」
クリスが苦笑いしていた。
「私もピゴーロに用があるの。戦力が増えるのは
悪いことじゃないでしょ。ね、マイル?」
マイルは大きく頷いた。
「いつの間に仲良くなったんですか?」
「さっきよさっき」
そう言うと、クリスに頭を下げた。
「勝手にしろ」
そう言って、クリスは歩き出した。
「よろしくね、ケイ」
「よろしくお願いします」
クリス、マイル、ジュリア、僕の順で進んだ。
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