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雷都−1−

電力を供給する国ということもあり、発電所が街のほとんどを占めていた。住居は団地のように1か所に集まっていた。 「殺風景なところね」 ジュリアの言うとおり、灰色の建物が並び無機質な印象を受けた。 「誰も歩いてないです···」 マイルが不安な表情で辺りを見回した。 「とりあえず、情報を集めよう」 クリスの提案で、二手に分かれて動くことにした。 足を進めても景色がほとんど変わらなかった。 「街の人はどこにいるんでしょうか」 「おい、あれを見ろ」 視線を追うと、建物の前に行列ができていた。 並んでる人たちの目は虚ろで、さながらゾンビのようだった。 「薬の出処で間違いなさそうだな」 建物から出てくる人はみな赤い錠剤を持っていた。 「どうします?」 「薬をもらってマイルに調べてもらおう」 そう言うと、剣を僕に預けて行列に加わった。15分ほどでクリスの番になり、薬を手に戻ってきた。 「中に薬を作ってる人はいましたか?」 「いや、あそこは受け渡し場所みたいだ」 「そうですか。マイルたちと合流しましょう」 さっきの倉庫へと向かった。 倉庫の扉を開けると2人が先に戻っていた。 「何か見つかった?私たちは収穫ゼロ」 「俺たちは薬を見つけた」 クリスは赤い錠剤をマイルに渡した。 「成分を調べてみます」 そう言うと、リュックから実験器具のようなものを取り出した。錠剤を透明な液体に入れると、泡を出しながら液体が紫色に変化した。 「やっぱり···この薬はあの植物から作られてます。早く止めないと···」 次の瞬間、物凄い音を立てて天井から何かが落ちてきた。破片が当たらないようにすかさず避けた。 「シンニュウシャハッケン」 「シンニュウシャハハイジョセヨ」 ドローンのような機械が4体、僕たちを囲んでいた。  「気をつけろ。何かしかけてくるぞ!」 「シンニュウシャハハイジョセヨ」 機械の真ん中が光ったと思ったら、レーザーのような光が発射された。ギリギリのところで避けたが、ローブに穴が開いてしまった。 「ロックブレイク!」 鋭利な岩の破片が機械に向かって飛んでいったが、 すばしっこい動きで避けられた。 「あんなに高く飛ばれたら攻撃もできないな」 「あら、そこは私に任せて」 ジュリアは短剣を鎖で繋いでリーチを伸ばした。 「チェーンウィップ!」 鞭のように鎖がしなって次々と機械を破壊した。 「ジュリア、すごいです!」 マイルが思わず拍手していた。 「だから私が必要だって言ったでしょ?」 ジュリアはクリスに笑いかけた。

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